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たどりついたか、ショーケン

2019年03月30日 | 雑記帳
 ショーケンが逝った。思い入れのある者は限られるだろうが、私には間違いなくスターの一人だった。買いためた数百のLPレコードを処分してもう20年以上になるが手元に残したわずか十数枚に「健一・萩原 熱狂雷舞」という1枚があるほどだ。GS全盛期にはやや反感を覚えていたが(笑)、その後は注目していた。



 世間的には俳優としての評価が高い。若い頃の「太陽にほえろ」「傷だらけの天使」「前略おふくろ様」という、いわば歴史的なドラマ主演もそうだが、黒澤明映画「影武者」などに見られる、やや狂気がかった役柄は絶品だった。また、少し枯れてきた感のあるここ数年の演技では個性的な存在感が際立ったように思う。


 NHK大河における幕末の岡田以蔵、5代将軍徳川綱吉、そしてなんと言っても「利家とまつ」で演じた明智光秀はなんとはまり役だったことか。なんと今年の「いだてん」にも配役されている。第20代総理大臣高橋是清、2.26事件で暗殺された首相である。最後にどんな「最期」を演じるか。その巡り合わせを想う。


 シンガーとしてのショーケンは、歌の巧さというより演技的歌唱が際立つ。だから有名な曲で言えば「酒と泪と男と女」「大阪で生まれた女」そして「愚か者」など、他の歌い手たちより味が深いと思っている。少しマイナーだが「ぐでんぐでん」という曲が好きだった。20代の深夜によくがなり立てて歌ったなあ。


 「♪ああぐでんぐでん 俺とお前は ぐでんぐでん」というサビのリフレインは、彼の人生そのものかもしれない。孤独を気取りながらも事件を起こしたり、何度も離婚を繰り返したり…結局、誰かに救いを求めた。その弱さを隠さなかったゆえの魅力か。「♪廻り道でも 道は道 はるかどっかにたどりつく」合掌。