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「いま」の反対語考える今

2019年09月28日 | 読書
 こんな歌を作り書き留めたことがある。

 「いま」と言うときにはもはや今はなく「いま」という音取り残される

 「いま」とはいつのことを指すのか…哲学的な問いなのかどうかもわからないが、何か書いてありそうな、読みやすい(笑)一冊を手に取った。


2019読了88
 『まんが 哲学入門』(森岡正博+寺田にゃんこふ  講談社現代新書)



 いくら漫画と言っても、やはり難しかった。
 ただ「いま」に関する、思ってもみなかったが、魅力的な問答があった。

 「いま」の反対語は何でしょう?


 世界中の何人がこの問いに答えられるのか。
 哲学者だからこそ、導きだせるのだろう。著者はこう記す。

 「いま」の反対語は、「ものごとが生じ、変化し、消え去り、一度消え去ったものはもう二度と戻ってこないということ」です。

 
 反対語から「いま」を意味づけると、常に流れ去るものごとに対して、不変のままに残り続ける土台のようなものと言えよう。

 いくら文字や音で「いま」を表現しようと、それらが今を決定的に表しているわけではない。もはや、遅いのである。

 だから、冒頭の拙い歌を推敲すれば、こうなるか。

 「いま」と言うときにはもはや今はなく「いま」の音消え今があるのみ


 この新書は「時間論」「存在論」「『私』とは」「生命論」の四章と、哲学書の読書案内で構成されている。
 四章までは、文字だけで説明されるより、はるかにわかりやすい(気がする)。
 けれど、圧倒的にわからない部分だらけだ。

 ただキーワードになる語を覚えておくことは、まんざら無駄ではない気がした。
 いつか、浮かんできたら、それも嬉しいことではないか。

 「いまの土俵」 「詩的言語」 「誕生肯定」