和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

修養書。

2008-02-01 | Weblog
雑誌の対談で、日垣隆氏が渡部昇一氏にこう質問しておりました。

【日垣】ちなみに、いちばん印税収入に貢献しているのはどの本ですか?
【渡部】『知的生活の方法』は、たぶん115万部くらい売れていると思いますので一冊ではこれがいちばんでしょう。『続 知的生活の方法』が3~40万部ですね。でも意外と収入の元になっていてバカにできないのが、修養書です。
【日垣】今で言うと自己啓発のようなジャンルに相当するものですね。

さっき読み終えた「修養こそ人生をひらく 『四書五経』に学ぶ人間学」(到知出版)は対談です。まえがきが、谷沢永一氏で、あとがきが、渡部昇一氏。あとがきの最後に「平成二十年正月」と日付が書かれておりました。

対談での最後の渡部氏の言葉はというと、
「日本人は自分を磨くために四書五経を学んできた。そういう風潮をもう一度、この国に興していきたいものです。」と終っておりました。

第一章「四書五経と私」での渡部氏の言葉も引用しておきましょう。

「お釈迦様の言葉も同じでね。あれはインドのカースト制度を抜きにしては出てこない思想だと思います。同じように、シナに四書五経という立派な思想が出てきたのは、当時の社会がよっぽどろくでもない状態であったと考えるべきだと思います。しかし、谷沢先生がおっしゃったように、いいのはその言なのであって、言の背後にあるものはむしろ悪であったろうと推測するぐらいでちょうどいいと思うんです。美しい蓮の花は泥がなければ咲かないというぐらいに考えてね。そう考えれば、いかなる乱世でも、いやむしろ乱世であればあるほど、輝きを増すような言葉として受け取れるのではないかと思います。」(p25)

こうしてパラドックスな見地から選ばれてゆく名文句の断片が、どう輝くかは、読者に任せられておりました。

ああそうそう。こんな言葉もありました。
【谷沢】・・テレビのお宝鑑定団みたいな番組を見ると、世の中には騙されようとしてる人がいかに多いかとよくわかりますね。(p104)

修養書も、まずは騙されてみるご器量が肝心なのかもしれませんが、
私など、ついついつきはなして読み終わってしまうのでした。
コメント
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