谷沢永一氏が語っております。
「木村尚三郎さんが『情報の情という字はおかしい』と言ったのは名言ですね。日本ではインフォメーションの訳として『情』という字を当てるけれど、これはおかしいと言った。つまり、データというものは情に響いてくるものであってはならないわけですね。もっと理性的に冷たく受け取ることができないかというわけです。」(p154「修養こそ人生をひらく」到知出版)
ちょいと、こんな情報などはどうでしょう。
という例がありました。
朝日新聞2008年1月16日の「もっと知りたい!」というコーナー。
見出しは「追随を許さぬ広辞苑人気」とあります。
見出しだけでは、雰囲気として情に流れる恐れがありますね。
本文を読むと、内容に踏み込んでおりまして、
見出しとはだいぶ趣を異にします。
「昨年10月、広辞苑第6版で新たに収録する言葉をどう説明するか、12語の例が公表された。広辞苑のライバル大辞林を出している三省堂の萩原好雄・辞書出版部長は『入れた言葉ばかり』・・。06年10月に出した第3版には、『ニート』『めっちゃ』『ブログ』など9語をすでに載せていたからだ。このうち、両者で見出しの表記が違うものが一つある。」
として指摘している箇所が重要なのでした。
「大辞林の『イケメン』に対して、広辞苑は『いけ面』だ。『広辞苑は間違いに近い』と言うのは『語源由来辞典』というサイトを運営する柴田茂範さんだ。『イケメン』は03年12月に収録。かっこいいを意味する『いけてる』に男性を意味する英語の『メン』が組み合わさったのが語源とみる。【「面」をかけるようになったのは後からで、まったく「メン」にふれないのは誤解を招く】ただ、柴田さんは同時に広辞苑の影響力を実感することになった。第6版に載ると決まってから、『いけ面』という表記がネット上で出始めた。最近では『広辞苑に従うべきだ』という投稿さえ来るようになった。」
ここまで、情報を書き込んだのに、朝日の「追随許さぬ広辞苑人気」という見出しは、まさに情の流れに乗っておりました。朝日新聞では、どうやらこの見出しで軍配をどちらに上げるか比重のかけかたを決めておられるようです。
人気と内容とで、朝日の軍配は「そうは言っても」と広告人気にくみした取り上げ方になっております。よく読めば内容にふれた箇所も散見するのですから、せめてもそれを引用しておきましょう。
「辞書について研究する評論家の武藤康史さんは、国文学を学ぶ学生だった30年ほど前、発表で広辞苑を引用した同級生が教授から怒られているのを見た覚えがある。『項目も説明も不十分で、国語の研究者で引用する人はいなかった。逆に、広く浅く知りたい専門家以外の人には使いやすかったのではないか」
辞書への理性的な対応よりも、人気の方に軍配をあげるとするならば、歴史問題も、このパターンで処理しないはずがないのでした。こういう新聞は、健康に悪いなあ。健康のため、文章への選択眼を養いましょう。見出しだけ見て、黙っていると腹ふくるる思いであります。
「木村尚三郎さんが『情報の情という字はおかしい』と言ったのは名言ですね。日本ではインフォメーションの訳として『情』という字を当てるけれど、これはおかしいと言った。つまり、データというものは情に響いてくるものであってはならないわけですね。もっと理性的に冷たく受け取ることができないかというわけです。」(p154「修養こそ人生をひらく」到知出版)
ちょいと、こんな情報などはどうでしょう。
という例がありました。
朝日新聞2008年1月16日の「もっと知りたい!」というコーナー。
見出しは「追随を許さぬ広辞苑人気」とあります。
見出しだけでは、雰囲気として情に流れる恐れがありますね。
本文を読むと、内容に踏み込んでおりまして、
見出しとはだいぶ趣を異にします。
「昨年10月、広辞苑第6版で新たに収録する言葉をどう説明するか、12語の例が公表された。広辞苑のライバル大辞林を出している三省堂の萩原好雄・辞書出版部長は『入れた言葉ばかり』・・。06年10月に出した第3版には、『ニート』『めっちゃ』『ブログ』など9語をすでに載せていたからだ。このうち、両者で見出しの表記が違うものが一つある。」
として指摘している箇所が重要なのでした。
「大辞林の『イケメン』に対して、広辞苑は『いけ面』だ。『広辞苑は間違いに近い』と言うのは『語源由来辞典』というサイトを運営する柴田茂範さんだ。『イケメン』は03年12月に収録。かっこいいを意味する『いけてる』に男性を意味する英語の『メン』が組み合わさったのが語源とみる。【「面」をかけるようになったのは後からで、まったく「メン」にふれないのは誤解を招く】ただ、柴田さんは同時に広辞苑の影響力を実感することになった。第6版に載ると決まってから、『いけ面』という表記がネット上で出始めた。最近では『広辞苑に従うべきだ』という投稿さえ来るようになった。」
ここまで、情報を書き込んだのに、朝日の「追随許さぬ広辞苑人気」という見出しは、まさに情の流れに乗っておりました。朝日新聞では、どうやらこの見出しで軍配をどちらに上げるか比重のかけかたを決めておられるようです。
人気と内容とで、朝日の軍配は「そうは言っても」と広告人気にくみした取り上げ方になっております。よく読めば内容にふれた箇所も散見するのですから、せめてもそれを引用しておきましょう。
「辞書について研究する評論家の武藤康史さんは、国文学を学ぶ学生だった30年ほど前、発表で広辞苑を引用した同級生が教授から怒られているのを見た覚えがある。『項目も説明も不十分で、国語の研究者で引用する人はいなかった。逆に、広く浅く知りたい専門家以外の人には使いやすかったのではないか」
辞書への理性的な対応よりも、人気の方に軍配をあげるとするならば、歴史問題も、このパターンで処理しないはずがないのでした。こういう新聞は、健康に悪いなあ。健康のため、文章への選択眼を養いましょう。見出しだけ見て、黙っていると腹ふくるる思いであります。