和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

西田繁詩集。

2012-07-04 | 詩歌
お借りした西田繁詩集「天を仰いで」を読んでおりました。

「朝めし」という詩の、最後の五行は
こうでした。


古稀まで過してきたが これでよかったのだろうか
ひたひたと 音もなくながれる時間が聞こえるようだ

何もせず たくさん忘れ物してきたような
ひらがなばかりの 作文だらだら 書いて
わからぬ道を ぼんやりまだ歩いているような




 ここでは、詩「独り旅」を引用。




  独り旅

あまりに空がひろいから
まだ 行方も定まらぬまま
過した季節を うしろに残して
住みよい国をめざして 飛び立つわたり鳥

もうあと戻りはできないと
羽ばたいたり 風に乗ったり
涯のない上空から 涯のない海原だけを見下して
己れだけは死なぬと 自身に言いきかせ飛んでいく

 ・・・・・・
鳥たちの 揃っているひと群れも
みんな渡りきれると それぞれ信じているのだろうか

力尽きて群れからおくれ 海に落ちる仲間を
助けもならず 見捨てていく
結局 渡り鳥は 群れであって群れでないと
孤独の鳥影消えるまで じっと見送りつづけている
コメント
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