和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

昨日今日とは思はざりしを。

2012-07-05 | 詩歌
最近読んだ本から、引用して並べてみます。


まず、西田繁詩集から

   あいつ

 毎年 同窓会は 菜の花咲く二月だ
 宴席は 白髪頭と禿げ頭が並ぶようになった。
 雑談と酔いの中で もう時間がないぞと 誰かが言った
 まだ 列車時刻に余裕があるのにと 声の方に顔むける

 そいつは 自分の余命のことを言ったらしい
 十年ひとむかしを 七回も重ねてきたのだ
 大切に生きたい そう思ったのだろう

 ぼんやりのまま 目的もさほど持たず
 野や 薮を歩く気持で 過ごしてきたせいか
 おれのズボンや 上衣には
 ぶたくさや いのこづちなど
 くだらぬ雑草の実が びっしりついている

 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・ 


そういえばと、伊勢物語を思い浮かべました。


 昔、いと若きにはあらぬ此れ彼れ、
 友達ども集りて、
 月を見て、それが中の一人、

 大方は月をも愛(め)でじ、
 これぞこの積もれば人の老いとなるもの。


う~ん。それよりも伊勢物語の最後を引用したほうが
はやいか。


 昔、男、わづらひて、心地死ぬべく覚えければ、

 ついに行く道とはかねて聞きしかど、
 昨日今日(きのふけふ)とは思はざりしを。

コメント
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