和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

文藝春秋10月号発売。

2014-09-11 | 短文紹介
総力特集「新聞、テレビの断末魔」。
これが読みたくて本屋さんへ。

塩野七生・平川祐弘・櫻井よしこ。
以上3名の文を読めてよかった(笑)。

櫻井よしこ氏の2頁(p240~241)
を、まず読むことをお薦め。
ちなみに、櫻井氏の文は10頁。

櫻井氏の2頁には、こうあります。

「・・朝日の検証が検証になっていないからだ。
朝日は本気で悪いとは思っておらず、
本気で反省もしていないと断ぜざるを得ない。
第一、 耐え難い不名誉の淵に日本と日本国民を
突き落としたことについて謝っていない。
そのうえ慰安婦問題の本質を強制連行から
『女性としての尊厳を踏みにじられたこと』
にすり替えた。
女性の尊厳を傷つける行為は当時もいまも、
残念ながら世界各地で見られる。
そうした中、日本だけが非難されるのは、
日本が組織的強制連行で、挺身隊まで
慰安婦にしたとされているからだ。
そのことに触れずに女性の尊厳へと
すり替えた朝日の検証態度を不誠実と
言わず何と呼べばよいのか。
不十分な検証は却って疑惑を深め、
結果として信頼も取り戻せない。・・」

ちなみに、平川祐弘氏の文の題は
『朝日の正義はなぜいつも軽薄なのか』
となっておりました。
塩野七生氏の文はというと、
半世紀に及ぶヨーロッパでの生活から
こう指摘しております。

そのまえに、塩野氏の文はこう始まります。

「8月5日に新聞の二面すべてを使って
掲載された朝日の記事、『慰安婦問題
どう伝えたか 読者の疑問に答えます』
を一読して最初に浮かんできた想いは、
『暗澹(あんたん)』であった。
これには現代日本の病理が凝縮されている、
と感じたからである。」

さて、その朝日新聞を読んでいくと

「私の視線は、この項目のある個所に
釘づけになった。記事をそのままで書き写すが、
当時の大日本帝国の内部では『軍による強制
連行を直接示す公的文書は見つかっていない』
としながらも、次のように続けているのだ。
『一方、インドネシアや中国など日本軍の
占領下にあった地域では、兵士が現地の女性を
無理やり連行し、慰安婦にしたことを示す
供述が、連合軍の戦犯裁判などの資料に
記されている。インドネシアでは現地の
オランダ人も慰安婦にされた』
私の頭の危険信号が点滅し始めたのは、
欧米がこの慰安婦問題を突いてくるとすれば
この箇所だ、と思ったからである。」

「われわれ日本人にとって、欧米を敵に
まわすのは賢いやり方ではない。オランダ人の
女も慰安婦にされたなどという話が広まろう
ものなら、日本にとっては大変なことになる。
そうなる前に、早急に手を打つ必要がある。
それにはまず、朝日新聞に協力を求めたい。
『インドネシアでは現地のオランダ人も
慰安婦にされた』で終わる箇所の記事の
根拠になった全資料、それも、選択を経たり
解釈などが加えられていない生まの資料の
すべてを提供してほしのだ。歴史を書く
場合の、『原史料』と呼ばれるものである。
・ ・・今重要なことは、・・・
生まの証言をすべて集めることなのだ。
記事の根拠にした以上、朝日にはそれが
残されているはずである。」

塩野氏が指摘する『今重要なこと』が
朝日に残されているのですが、
これに、どう誠実に対応するかで

櫻井氏が指摘する
『朝日は本気で悪いとは思っておらず、
本気で反省もしていないと断ぜざるを
得ない』(p241)

これが、はっきりするのでしょう。
そして、平川氏の題
「朝日の正義はなぜいつも軽薄なのか」
この暗澹さを思い知らされるのか。

ということで
平川氏の文は、ファンとしては
ゆっくりと全文を読んで欲しいので、
ここでは、ちらりと引用。

「このような『朝日』に体質改善は
望めるのか。今回の慰安婦問題の誤報の
件についてはさぞかし多くの投書が寄せ
られているだろう。だが、『声』欄は今の
ところ一通も批判的な読者の投稿を掲載
していない。『朝日』とはそんな
破廉恥な新聞なのである。
平川家は愛想をつかして『朝日』を
やめた。ある席で私がそういい、
芳賀徹が『自分も止めた』といったら、
ドナルド・キーン氏が・・・・」


うん。今月号の文藝春秋。
3人の文を読めたのが私の収穫。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする