和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

随筆とはいえ方丈記。

2015-03-05 | 短文紹介
伊藤正雄・足立巻一著「要説日本文学史」
(現代教養文庫)の古本を注文。

常磐書房(大阪市北区同心)
500円+送料180円=680円

パラリと、方丈記と徒然草の
箇所を読んでみる。


「この二つの作品は、
中世における遁世者文学(草庵文学)の
双璧であるが、その特色は著しく相違する。
方丈記は、随筆とはいえ、首尾一貫した
一種の評論文の形式になっている。
発端に人生の無常を道破し、つぎに
作者自ら体験した天変地異の数々を挙げて
これを例証し、それより自己の経歴を回顧
して、日野山隠遁の由来を述べるとともに、
閑居の情景を描き、最後に草庵生活の
楽しむべきことをいって筆を結んでいる。
その理路整然たる叙述は、従来の国文に
絶えて類例をみなかったところである。
けだし漢文の文章法に学んだのであろう。
文体も、流麗な和文の長所に配するに、
対句・倒句など、漢文の修辞をもってして、
よく律語的効果を収めている。
筆致簡潔、叙事・叙情の明快なこと、
短編ながらまことに名文と評するに足りる。
・・・・」(p86)


私は、この箇所だけでも
読めて、幸せに思います(笑)。
ありがたい。
コメント
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