猪瀬直樹著「救出」(河出書房新社)
を手にしたので、とりあえず、
気になる箇所をひらく。
ちなみに、表紙には
「3・11気仙沼公民館に取り残された
446人」という文字。
p193に
「家族からのメールも届かない。
こちらから打っても返事がない状態に
なってしまった。中央公民館に、
自分の母親と施設の子どもがいることを
知っているのは世界中で自分だけではないか、
とはたと気づいた。そうであれば、
この事態をまずできるだけ多くの人に
知ってもらうしかない。・・
パソコンの前に座り直した。
ツイッターは百四十字という文字制限がある。
その制限の枠のなかでできるだけ客観的な
表現で、起きている事態を緻密にわかりやすく
説明するにはどうしたらよいか、
眼をつむって集中した。・・・
三十分かけて文案ができた。」
p224~
「夜八時ごろNHKが
『東京都のホームページで避難場所を
ご覧ください』とアナウンスしはじめると、
都庁のホームページにアクセスが集中した。
アクセスが集中すると許容量を超えてしまう。
避難場所一覧を見ることができない。
またテレビでも刻々と私鉄や地下鉄の運行
再開時間について報じられることになるが、
街頭にあふれた帰宅困難者にはそうした
情報が届きにくい。
そこで都庁六階の副知事室にいた僕は、
ツイッターで避難場所や地下鉄などの
運航停止と運航再開の情報を流しはじめた。
アクセスできない都庁のホームページの
バイパスをつくった。帰宅困難者向けの
ツイートを夜の八時近くから打ちはじめた。
十一時過ぎ、情報発信が一段落したところで、
気になっていたもうひとつの作業に着手した。
ツイートがどの程度届いているのか、
その結果、帰宅困難者からどういう反応や
要望が求められているのか、僕が使っている
アカウントへのリプライを紙に刷り出した。
帰宅困難者だけでなく被災地からの救難を
求めるツイートも寄せられていた。
そのひとつに眼が釘付けになった。
オフィス家具施行業のステディライズ社長
鈴木修一のアカウントから転送されたもの
であった。僕にはどういう人物なのか、
わからない。・・・・都庁九階の
防災センターに詰めている東京消防庁の
伊藤克巳防災部長を呼び出した。
刷り出した紙を見てもらうためである。
震災でデマ情報が氾濫していたこともあり、
短い文章のなかに盛り込まれた情報の
信憑性を確かめなければいけない。
・・・刷り出したツイートの文面を示した。
『障害児童施設の園長である私の母が、
その子供たち十数人と一緒に、避難先の
宮城県気仙沼市中央公民館の三階にまだ
取り残されています。下階や外は津波が
浸水し、地上からは近寄れない模様。
もし空からの救助が可能であれば、
子供達だけでも助けてあげられませんで
しょうか』
NHKの画面に気仙沼一帯が火の海と
なって燃えている模様が繰り返し映し
出されていた。この短文が事実なら
・・・・」(~p226)
うん。まずはこの箇所を確認したかった。
を手にしたので、とりあえず、
気になる箇所をひらく。
ちなみに、表紙には
「3・11気仙沼公民館に取り残された
446人」という文字。
p193に
「家族からのメールも届かない。
こちらから打っても返事がない状態に
なってしまった。中央公民館に、
自分の母親と施設の子どもがいることを
知っているのは世界中で自分だけではないか、
とはたと気づいた。そうであれば、
この事態をまずできるだけ多くの人に
知ってもらうしかない。・・
パソコンの前に座り直した。
ツイッターは百四十字という文字制限がある。
その制限の枠のなかでできるだけ客観的な
表現で、起きている事態を緻密にわかりやすく
説明するにはどうしたらよいか、
眼をつむって集中した。・・・
三十分かけて文案ができた。」
p224~
「夜八時ごろNHKが
『東京都のホームページで避難場所を
ご覧ください』とアナウンスしはじめると、
都庁のホームページにアクセスが集中した。
アクセスが集中すると許容量を超えてしまう。
避難場所一覧を見ることができない。
またテレビでも刻々と私鉄や地下鉄の運行
再開時間について報じられることになるが、
街頭にあふれた帰宅困難者にはそうした
情報が届きにくい。
そこで都庁六階の副知事室にいた僕は、
ツイッターで避難場所や地下鉄などの
運航停止と運航再開の情報を流しはじめた。
アクセスできない都庁のホームページの
バイパスをつくった。帰宅困難者向けの
ツイートを夜の八時近くから打ちはじめた。
十一時過ぎ、情報発信が一段落したところで、
気になっていたもうひとつの作業に着手した。
ツイートがどの程度届いているのか、
その結果、帰宅困難者からどういう反応や
要望が求められているのか、僕が使っている
アカウントへのリプライを紙に刷り出した。
帰宅困難者だけでなく被災地からの救難を
求めるツイートも寄せられていた。
そのひとつに眼が釘付けになった。
オフィス家具施行業のステディライズ社長
鈴木修一のアカウントから転送されたもの
であった。僕にはどういう人物なのか、
わからない。・・・・都庁九階の
防災センターに詰めている東京消防庁の
伊藤克巳防災部長を呼び出した。
刷り出した紙を見てもらうためである。
震災でデマ情報が氾濫していたこともあり、
短い文章のなかに盛り込まれた情報の
信憑性を確かめなければいけない。
・・・刷り出したツイートの文面を示した。
『障害児童施設の園長である私の母が、
その子供たち十数人と一緒に、避難先の
宮城県気仙沼市中央公民館の三階にまだ
取り残されています。下階や外は津波が
浸水し、地上からは近寄れない模様。
もし空からの救助が可能であれば、
子供達だけでも助けてあげられませんで
しょうか』
NHKの画面に気仙沼一帯が火の海と
なって燃えている模様が繰り返し映し
出されていた。この短文が事実なら
・・・・」(~p226)
うん。まずはこの箇所を確認したかった。