和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

寝転んで書いたかと。

2015-03-20 | 短文紹介
伊藤正雄氏に
「福沢諭吉と国語の問題」と題する
講演があります。
そこから引用。


「福沢が文章を平易に書くために
いかに苦心したかは、この
『福沢全集諸言』の中にいろいろ
具体的に語られていますが、
彼に親しかった門人の回顧録などを
見ても、そうした事実がよくわかる。
先生は、自分の文章を書く時は
もちろんであるが、弟子の文章を
直すにも非常に苦心された。
一字一句もおろそかにしない。
何時間もかかって、時にはウンウンと
掛け声をかけて、まるで真剣勝負でも
するかのような格好で机に向かって
ゐた。そうしてやっと出来あがった
文章を見ると、まるで寝転んで書いた
かと思はれるやうな、自然な無造作な
ものに見えた、といふことであります。
これがすなはち福沢の文章の人知れぬ
苦心の存するところだったのである。
もちろん時代が時代であったから、
福沢の文章はすべて文語体であるが、
当時としてはあんな読みやすい、
くだけた文語体はない。
明治初期の多くの啓蒙学者のうちで、
飛び抜けて福沢の名が民衆に親しまれ
たのも、ただその思想や人柄のせゐ
ばかりではない。彼独特の平易明快で、
しかもユーモアにあふれた文章の魅力
があづかって最も大きかったことは
疑へないと思ふ。」
(伊藤正雄著「福澤諭吉論考」p37)


うん。今日はよい天気。
すこし暑くなりそうだなあ。
そういえば、いつのまにか、
もう20日になっておりました。
一月往く。二月逃げる。三月去る。
まったく、すぎてしまえばその通り(笑)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする