和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

国語改革の切断効果。

2015-03-16 | 短文紹介
国語改革の新書3冊。

高島俊男「漢字と日本人」(文春新書・2001年)
この第四章は「国語改革四十年」。

小駒勝美「漢字は日本語である」(新潮新書・2008年)
この第六章は「常用漢字の秘密」。

加藤秀俊「なんのための日本語」(中公新書・2004年)
一冊まるまる、加藤氏の国語改革案。

うん。新書3冊で国語改革の変遷を、
垣間見た気分にさせてくれました。


ひとつ引用するなら、一冊目のここかなあ

「戦後の国語改革――かなづかいの変更、
字体の変更、漢字の制限――がもたらした
最も重大な効果は、それ以後の日本人と、
過去の日本人――その生活や文化や遺産――
とのあいだの通路を切断したところにあった。
それは国語改革にかかわった人たちのすべてが
意識的にめざしたものではかならずしもなかった
――かなり多くの国語審議会委員たちは、
技術的なこと程度にしか考えていなかった――
けれども、実際には、思いがけなかったほどの
強い切断効果を生んだのであった。
戦災で地方に疎開していた人たちが都会にもどり、
社会がある程度おちつき、そして知識人たちが、
これはたいへんだ、と事態の重大さに気づいて、
まとまって行動するようになったのは、国語改革が
おこなわれてから十年以上たってからである。・・
知識人たちの戦いは、涙がこぼれるほど
悲惨なものだった。いかにその言うことが
正しくても、論理的に文部省を打ち破って
いても、日本の文化の継続にとって致命的で
あることを論証しても、何の効果もないのである。
勝っても勝っても、敵に傷一つおわせることが
できない。事態をかえることができない。」
(p207~209)
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自宅6畳間で。

2015-03-16 | 書評欄拝見
読売新聞3月15日
気になる書評。


尾崎真理子(本社編集委員)の書評。
松岡享子著「子どもと本」(岩波新書)を
とりあげております。
そこから引用。

「著者は1960年代に米国の公共図書館で
児童室の取り組みを学び、大阪市立中央
図書館の勤務を経て、東京の自宅6畳間で
家庭文庫を開設。74年、子どもと読書を
結ぶあらゆる活動の拠点として『東京子ども
図書館』を創立した。その人の知恵と提言が
本書に結晶している。」

書評の最後も引用。

「本書にあるのは理想論だろうか。
しかし、この理想を貫いて40年、
税金を1円も使わずに、著者は
私立図書館を営んできたのだ。」


水木しげる「人生をいじくり回してはいけない」
(ちくま文庫、680円)。
その短文書評は
こうはじまります。
「御年93歳!水木しげるの生い立ち、
故郷、作品秘話から、戦争体験、そして
死生観までが詰っている。・・・」


毎日新聞書評は
岩間陽子評で
山崎正和「対談天皇日本史」
(文春学芸ライブラリー1296円)

はじまりは、
「こんな日本史の授業を受けてみたかった。」

中頃に、

「夢の授業だ。山崎正和氏が亭主役を務め、
十人の識者を招き、代々の天皇を通じて、
日本の国の形と文化を論じていく。
昭和49年に雑誌『文藝春秋』に掲載された
連載対談を基にしたものであるが、昔の
『文藝春秋』はこんなにもレベルが高かった
のかと仰天した。三十代末の山崎氏の対談相手は、
四十代の小松左京や高坂正尭から東大名誉教授まで。
だが、みな見事に山崎氏の洒脱な議論に組み合って
いく。・・・」


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