国語改革の新書3冊。
高島俊男「漢字と日本人」(文春新書・2001年)
この第四章は「国語改革四十年」。
小駒勝美「漢字は日本語である」(新潮新書・2008年)
この第六章は「常用漢字の秘密」。
加藤秀俊「なんのための日本語」(中公新書・2004年)
一冊まるまる、加藤氏の国語改革案。
うん。新書3冊で国語改革の変遷を、
垣間見た気分にさせてくれました。
ひとつ引用するなら、一冊目のここかなあ
「戦後の国語改革――かなづかいの変更、
字体の変更、漢字の制限――がもたらした
最も重大な効果は、それ以後の日本人と、
過去の日本人――その生活や文化や遺産――
とのあいだの通路を切断したところにあった。
それは国語改革にかかわった人たちのすべてが
意識的にめざしたものではかならずしもなかった
――かなり多くの国語審議会委員たちは、
技術的なこと程度にしか考えていなかった――
けれども、実際には、思いがけなかったほどの
強い切断効果を生んだのであった。
戦災で地方に疎開していた人たちが都会にもどり、
社会がある程度おちつき、そして知識人たちが、
これはたいへんだ、と事態の重大さに気づいて、
まとまって行動するようになったのは、国語改革が
おこなわれてから十年以上たってからである。・・
知識人たちの戦いは、涙がこぼれるほど
悲惨なものだった。いかにその言うことが
正しくても、論理的に文部省を打ち破って
いても、日本の文化の継続にとって致命的で
あることを論証しても、何の効果もないのである。
勝っても勝っても、敵に傷一つおわせることが
できない。事態をかえることができない。」
(p207~209)
高島俊男「漢字と日本人」(文春新書・2001年)
この第四章は「国語改革四十年」。
小駒勝美「漢字は日本語である」(新潮新書・2008年)
この第六章は「常用漢字の秘密」。
加藤秀俊「なんのための日本語」(中公新書・2004年)
一冊まるまる、加藤氏の国語改革案。
うん。新書3冊で国語改革の変遷を、
垣間見た気分にさせてくれました。
ひとつ引用するなら、一冊目のここかなあ
「戦後の国語改革――かなづかいの変更、
字体の変更、漢字の制限――がもたらした
最も重大な効果は、それ以後の日本人と、
過去の日本人――その生活や文化や遺産――
とのあいだの通路を切断したところにあった。
それは国語改革にかかわった人たちのすべてが
意識的にめざしたものではかならずしもなかった
――かなり多くの国語審議会委員たちは、
技術的なこと程度にしか考えていなかった――
けれども、実際には、思いがけなかったほどの
強い切断効果を生んだのであった。
戦災で地方に疎開していた人たちが都会にもどり、
社会がある程度おちつき、そして知識人たちが、
これはたいへんだ、と事態の重大さに気づいて、
まとまって行動するようになったのは、国語改革が
おこなわれてから十年以上たってからである。・・
知識人たちの戦いは、涙がこぼれるほど
悲惨なものだった。いかにその言うことが
正しくても、論理的に文部省を打ち破って
いても、日本の文化の継続にとって致命的で
あることを論証しても、何の効果もないのである。
勝っても勝っても、敵に傷一つおわせることが
できない。事態をかえることができない。」
(p207~209)