和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

節用集。

2015-08-25 | 地域
加藤秀俊著「メディアの展開」。
その第四章「知識の整理学――百科事典雑話」に
節用集をとりあげた箇所あり。

「その『節用集』を明治になって継承したのが
明治27(1894)年、博文館が刊行した
『伝家宝典明治節用大全』である。
昭和49(1974)年のその覆刻版を
わたしはいまでも折にふれてこれを参照する。
通常の辞書や百科、さらにウィキペディアのような
検索でもわからないようなことが
『節用集』には記載されているからだ。・・・
任意のページをひらくだけで読みふけってしまう。」


はい。すぐに古本で注文して手元に(笑)。
引用をつづけます。

「その刊行の趣旨と編集方針をみると、
これがまたおもしろい。いわく、

節用の書古今数十種、其間詳略精疎の別ありと雖も、
皆な能く日常必需の事項を網羅し、之を坐右に備ふれば、
大抵の事弁ずべからざる無し、
故に地方に在て良師に乏しきの士が
万有の事物に通暁するは、
蓋し節用に就て学ぶより善きは無し。・・・

これで『節用集』というものの効用がわかってくる。
これを一冊、手もとに置いておけば『大抵の事』を
弁ずることができるのである。とくに
『地方に在りて良師に乏し』いひとびとを読者
あるいは利用者として想定しているところに注意しよう。
・・・第九章でふたたびふれることになるが、
18世紀の日本の各地方には『独学者』が
おどろくべきスピードで増加していた。
かれらにとって『節用集』は必須の参考書でもあったのである。」
(p186~188)

『整理学』『独学のすすめ』とは
二つして加藤秀俊氏の本の題名でした。
そんな身近なキーワードに
この『メディアの展開』をひらいていると
であえる楽しみ(笑)。
コメント
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