火曜日に届いた古本に、
臼井史朗著「疾風時代の編集者日記」(淡交社・2002年)。内容は、
編集者としてご自身の日記から、故人をしのぶ箇所をとりあげてあります。
はい。こういうのは、横着なパラパラ読みには格別の味わいがあります。
ここはひとつ、芳賀幸四郎先生にまつわる古い日記をひらいている箇所。
そこを引用してみることに。
「 昭和40年9月16日 草むしり五徳
今日は、昨日の敬老の日の代休日。10時頃から庭掃除。午後5時に終わる。
何時だったか、芳賀幸四郎先生と話をしたときのことだった。
君の趣味は何だね・・と。
僕の趣味は草むしりですよ・・・と答えた。
先生は、臼井君には魂消(たまげ)たよ・・・と、
その理由はいったい何だと、それを言え、
それを言わんと帰さんぞと禅問答みたいになり、
結局草むしりの十徳か五徳かを語りあった。
〇 個、孤独の自分が発見出来るということ!
毎日毎日、誰かと何かを、いやな話ばかりに追っかけられている。
禄でもない話ばかり。せめて一人になりたい。
草むしりは自分をひとりにするものだ。
〇 雑草の生命をきくことが出来る!
草むしりである以上、雑草を取るのだが、
雑草とて生きんがため、生命をかけて生きている、
その姿を発見出来るということ。
〇 土の感触から大地の呼吸を感じられる。・・・・
〇 自問自答の時間が得られる!
ぶつぶつと、何をつぶやいてもいい。
自らが自らに問いただすこと。そのことの意味は大きい。
そのことが出来るのは、この時間をおいて外にはない。禅ぐらいか?
・・・・・・・そんな話をしたことを思い出す。
面白いことを言う奴だ、と笑われた。・・・・・ 」( p106 )
ちなみに、芳賀徹のお父さんが芳賀幸四郎。
昨日、待っていた、新潮文庫の古本「注文の多い料理店」が届く。