藤子不二雄著「二人で少年漫画ばかり描いてきた 戦後児童漫画私史」
( 毎日新聞社・1977年 )を古本で購入。
いろいろな漫画家が登場しております。
パラパラめくっていると、こんな箇所がありました。
「 はじめは漫画への激しい意欲と情熱を燃やして描いたものが、
次第に職業的熟練で処理していくようになる。
大人漫画はいざしらず、児童漫画でこうなったら、
その漫画家の生命はもう終りつつあるといっていい。
少年読者は実に敏感に、作品を通して、その作者の
エネルギーの減退をかぎとるからだ。
現代の若者やこどもたちはシラケの世代だといわれる。
たしかに彼等の行動や発言からはそれを感じさせる。
だが、少なくとも児童漫画の読者たちは、
漫画にシラケを求めてはいない。
彼等が漫画に期待するのはホットな連帯感なのだ。
まわりがシラケの環境であればあるほど、
漫画の世界だけには熱い感情のたかぶりを求めるのだ。 」(p169)
これは、石ノ森章太郎を語った箇所にありました。
ついでに、石森章太郎はどう紹介されていたかも引用しときます。
「なんせ、つい最近まで、『趣味は?』と聞かれると、
『 漫画を描くこと 』と平然と答えた男(石森)だ。
本業が『漫画を描くこと』で、
趣味も『漫画を描くこと』。これはツヨイワ!
漫画を描くことが面白くて、楽しくてしょうがないのである。
・・・・オトロシー。 」(p169)