花田紀凱・和田秀樹「70歳からが本物の成長期」(サンマーク出版・2023年)
この本の「はじめに」にこうあります。
「本書は、伝説的な雑誌編集者で、80歳を過ぎた現在でも
編集長を続けられる花田紀凱(かずよし)さんとの何回
にもわたる対談をまとめたものです。
・・・80歳をすぎた花田さんには、年をとるほど不幸という
巷(ちまた)の思い込みは嘘ではないか、自分はむしろ幸せ
を感じているとおっしゃるのです。
私も、年をとることで幸せを感じている人が大勢いることは知っています。
それは、花田さんのように現役で充実した仕事ができるひとに
限ったことではありません。・・・
たとえば、アメリカのダートマス大学の経済学者、デービッド・
ブランチフラワー教授が世界132か国の人を対象に、
人生の幸福度と年齢の関係を調べた調査では、
世界中のどこの国でも、歳をとるほど幸福度が増し、
『 日本人の幸福度のピークは82歳以上 』というのです。
この研究は、私が長年高齢者を診てきた肌感覚に合うものです。
そもそも高齢で幸せを感じている人からじっくり話を聞く
というのは大切なことだと思っていたので、花田さんは適任者。・・」
( p1~2 )
うん。花田さんはいいや。
私が気になるのは、親鸞。
法然が69歳の時に、親鸞(29歳)がはじめて会います。
その出会いについて増谷文雄氏は対談でこうかたっておりました。
「とくに大事なことは法然が『選択集』を書いたあとだということですね。
法然はもうぼつぼつ自分は死ぬるからというのであれを書いています。
だから法然の門下の中では、年次で申しますとごく終りのほうでございます。
・・・『選択集』を書いた以後にびしっと厳しくなっております。
そのときに(親鸞が)飛び込んでおります。
それからご存知のように数年して越後に流されました・・・
・・・・・
やがてまた京都に帰られますね。ところが
京都に帰りましてからぽつぽつ仕事を始めますのは
七十を半ばすぎてから、そこでもスロー・スターターです。
なにか私は、牛のごとき人という感じがするのですよ。・・
その代り、歩き始めると大地をとどろかせてぐんぐん押しつめていく。
親鸞という人はそういう性格の人だったのじゃないかと、
そんな感じがするのです。 」
以上は、筑摩書房「親鸞集 日本の思想3」の付録の冊子
「対談 野間宏・増谷文雄」(p3)から引用しました。
この対談のはじまりを増谷氏はこうはじめております。
「親鸞の文章は、むずかしい字もたくさん使っていますけれども、
晩年のものはわりあい現代人にわかりやすいのじゃないかと思われます。
その文章を訳しておりますと、描いている世界は
現代の世界と違うけれども、なにか現代に通う
ものがあるような気がするのですね。
この人のものはそのまま私たちに通じるのじゃないかと、
そのとき私は思わざるを得なかったのです。 」
うん。これでこの『親鸞集』。もうすこし読み続けられそうです。