Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

ベルイマン流トラウマ対処法(8)

2021年09月15日 06時30分24秒 | Weblog
(引き続きネタバレにご注意)

 ようやく目が覚めたイサクが、夢の内容について、マリアンに「生きながら死ぬ夢だ」と説明すると、彼女は、「エーヴァルト(イサクの息子:マリアンの夫)と同じことを言うわ」と驚く。
 マリアンから妊娠を告げられたエーヴァルトは、「僕は、憎み合う両親の、望まれない子供だった」と嘆くばかりか、「僕か子供かどっちかを選べ」と述べて、子供を堕胎することを求めたのだという。
 エーヴァルトは、「人生に吐き気がする。望みは死ぬことだけだ」と吐き捨てるほど、「死の欲動」に冒されてしまっている。
 マリアンはイサクに、「何があってもこの子を産むわ」と自分の決意を述べる。
 「なぜ私に話した」と尋ねるイサクに、マリアンはこう説明する。
 
 「この老婆(イサクの母)は死人のよう。でも生きてる。そして息子(イサク)。お母様と一緒、でもまるで反対。生きながら死んでる。そしてエーヴァルト。
 この孤独と死が、脈々と続いてしまう。この子にも。愛する夫にもこの命は奪わせない。


 恐ろしいことに、イサクのトラウマ、あるいは「トラウマを抱えて『生きながら死ぬ』こと」が、エーヴァルトにも伝染してしまったようだ。
 深く傷ついた人間は、知らず知らずのうちに他人を傷つけてしまうのである。
 何とかしてこの負の連鎖を断ち切らなければならない。
 ・・・もちろん、ベルイマン監督はちゃんと救済を用意している。

 
コメント
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