Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

10月のポトラッチ・カウント(9)

2024年11月01日 06時30分00秒 | Weblog
 終演後の東京文化会館は、とにかく騒がしかった。
 私の感覚では、「ブラヴォー!」が8割程度、「ブー!」が2割程度だったと思う。
 5階席か4階席から、女性の大きな声で、はっきりと「ブー」が聞えたのが強烈な印象を残した。
 このあたりは、クラウドファンディング参加者向けの席と思われるのだが、募集当時のチラシには、
 「・・・すると皇后の体に影が宿り、皇帝はもとの姿へ。染物屋夫婦は互いの無事を喜び合う。
とあり、実際のエンディングとは真逆のストーリーが記載されていた。
 ハッピー・エンドだと思ってお金を出したのに、その期待を裏切られたというので、「ブー!」のボリュームも大きくなったということなのかもしれない。
 ところで、私が興味深いと感じたのは、「生殖」を大きなテーマとするこのオペラにおいて、「染物屋夫婦」という、当時の典型的な「手仕事」職人が重要な役割を演じているところである。
 この点は、岩下眞好先生が的確に指摘して下さっていた(公演パンフレットp34~)。
 つまり、西欧の伝統的思考においては、「つくる」こそが、「うむ」と並ぶ創生論の基本動詞なのである(「つくる」、「うむ」、「なる」?)。
 他方において、日本神話を特徴づける「なる」の観点は欠落している。
 このオペラで皇后が身籠るところは、どう考えても「なる」でした説明出来ないと思うのだが、そういう発想は出て来ないのである。
 ・・・さて、「影のない女」に出て来るポトラッチ・ポイントは、
・皇后を誘拐した代償として半身不随になった皇帝・・1.0
・不貞の代償として殺された皇后とバラクの妻・・・10.0(=5.0×2人)
の合わせて11.0となる。
 というわけで、10月のポトラッチ・カウントは、
・「ザ・カブキ」・・・・・・210.0
・「俊寛」・・・・・・・・・・・6.0
・「権三と助十」・・・・・・・・2.0
・「婦系図」・・・・・・・・・・1.0
・「源氏物語」・・・・・・・・・2.5
・「影のない女」・・・・・・・11.0
で、合計すると、232.5となり、過去最高をマークした。
 やはり、「ザ・カブキ」の威力が大きく、「忠臣蔵」こそが日本の暗部=レシプロシテの猛毒を代表する作品ということなのだろう。
コメント
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