Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

曲の誕生、あるいは旅と水によるインスピレーション

2024年11月15日 06時30分00秒 | Weblog
 「第7番は一見したところ、彼のすべての交響曲の中で最も演奏の機会に恵まれない作品であり、多くの聴衆にとっては未だに何か謎めいた交響曲と映る。
 私はこれまでずっとその理由を解明しようとしてきた。なぜなら私自身は反対に、すぐにこの作品に恋をしてしまったから。
・・・
 この交響曲もまた夜の闇から生まれているが、第7番においては、第5番がそうであるように神秘や不可思議と戦うのではなく、むしろそれらを喜んで受け入れている。マーラーは、彼の選択を説明するために音楽以外の何かを語る副題を残すことはしなかったが、第2楽章と第4楽章につけられたタイトル「ナハトムジーク(夜の音楽) I&II」が我々に提示するのは、妖しく幻想的だが、だからといって恐ろしくはない存在たちの、夢のような世界である。

 演奏機会の少ないマーラー7番。
 ステージ上には溢れんばかりの奏者の皆さんで、ふだんの3倍近い人数ではないだろうか?
 もっとも、これだけの大所帯だと、第4楽章で登場するギターやマンドリンの可愛らしい音がほとんど聞こえないのは難点と言うべきだろう。
 さて、例によってロバート・マーコウさんの解説が面白い。
 
He later wrote to his wife Alma that as he was being rowed across the lake from Krumpendorf to Maiernigg,"at the first stroke of the oars the theme (or rather the rhythm and character) of the introduction to the first movement came into the head - and in four weeks the first, third and fifth movements were done."
(拙訳:彼(マーラー)は後に妻のアルマにこう書いている。湖を渡るクルンペンドルフからマイヤーニッヒ行の船の上で、「最初のひと漕ぎで、1楽章の冒頭部分の曲のテーマ(あるいは、むしろリズムと特徴)が頭に浮かんだ。そして、4週間すると、1楽章、3楽章と5楽章が完成したんだ。」

 マーラーは、作曲のインスピレーションを求めて毎年夏はマイヤーニッヒに滞在する習慣を持っていた。
 交響曲第7番は、引用したように、船の上で産声をあげたのである。
 私は、この解説を読んで、メーリケの「旅の日のモーツァルト」を思い出した。
 手元に本がないので確認出来ないが、モーツアルトが、旅先の公園の広場で噴水を見ていたある瞬間に曲が生まれたというエピソードがあったはずである。
 マーラーとモーツアルトに共通しているのは、
・旅先
・水
の2点である。
 ・・・というわけで、インスピレーションを得たい人は、旅行に行って水を見るとよいかもしれない。 
コメント
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