最近、大騒ぎになっている森友学園の問題
破格値での国有地払い下げとその経過の不自然さなどは
官僚出身の野党の議員さんが
自分たちが経験してきたことと大きく異ると実感を口にして
傍目にもそうなんだろうなと想像できる
ワイドショーでも扱われるようになったこの問題
へそ曲がりな自分が興味を持ったのが「財務省佐川理財局長」
考えようによっては一番の被害者かも知れない、やたらと弁の立つ人だ
(言い訳する能力のあるお役人だ)
何ごともなかったらその頭の良さを発揮して出世しただろうに
(今も充分出世している?)
だが本当に興味を持ったのは彼個人のことではなく、官僚という立場の人々のこと
彼らはどのような考えを持って日々暮らしているのか
何を守るべきものとして考えているかとても気になった
だから最近「官僚の反逆」などという本を引っ張り出して読み返している
同様に関心をもったもうひとつ別のことは、
海外のメディアがよく取り上げる教育勅語のこと
そしてこの教育勅語を良しと考える人達が、そんなものはなかったと考えたい
「南京事件」のこと
「南京事件」を調査せよ 清水潔
恥ずかしながら南京事件については、よく耳にするものの何の知識もなかった
それでこの本を図書館から見つけて読むことにした
ここでは「調査報道」という言葉が時々出てくる
発表されたことをそのまま報道するだけの「発表報道」と対立する言葉だ
この本では「一次資料」を求めて奔走する
そしていくつかの同じことの書かれた資料を目にする
そこに書かれたことは、、
正直なところ、その部分を読んでいて気持ちが悪くなった
吐き気がした
それは「シンドラーのリスト」「戦場のピアニスト」で見られた
ナチがユダヤ人を容赦なく殺していくシーンでショックを受けたのと同じだ
何の罪悪感も感じないかのように死体を製造していく
人は何をしでかしてしまうのか
その気味悪さ
その冷酷な命令に従ってしまう人間の弱さ
後からとか外から見れば理不尽な行為でも、その現場にいれば
抗いきれないことかもしれない(そうしなければ自分の命が危ない)
これと同じことが官僚の世界でも起きていないかと想像してしまう
抗いきれない力とか何か
ハンナ・アーレントが「思考停止」と名付けたものに通じるかもしれない
南京事件はその人数がどうであれ、虐殺の事実は否定できないようだ
日本人だけが虐殺をしていたのではない、他の国も同じようにしているから
日本人だけを目の敵にするのは間違っているという人々もいる
しかし、間違いを起こさないために「歴史から学ぶ」というのは
辛いことも甘んじて受け入れる覚悟も必要だ
今の自分達には罪がないかもしれないが、未来の人たちに対する責任がある
と言ったのはワイツゼッカーだった
それに悪いことをしでかしたのは自分とは違う変な人達だったと考えるのは
想像力の欠如で、いつ何時自分が悪魔のような人物になってしまうかもしれない
たまたまそういう境遇にいないだけのことかも知れない
人は何をしでかしてしまったのか
人は何をしでかしてしまうのか
決して楽しい本ではないが、読むべき一冊だ