本当は聴き流すなんてことは正しい聴き方ではないのだろうけれど
パソコンに向かい作業しながら聴いたのが
シューベルトの晩年のピアノソナタをアファナシエフが演奏したもの
購入した時に真面目に聴いたのだけれど
聴き続けるのがつらくなって
少し敬遠していた
死を間近にした人間の音楽
音と音の間、休止の間の闇、深さは聴き終わった後も
しばらく心理状態に影響がでそうな演奏で
CDには珍しく演奏者の意識が感じられるものだったが
今日は何となく作業しながらなら聴けるかもと
聴き流すつもりでいたが、、、
さすがに聴き流すことは演奏が許さないようで
作業しながらの耳にもなにか訴えてくる
心に引っかかってくる
この印象・感覚 以前にも味わったことがあると思い出したのが
同じシューベルトの「冬の旅」のハンス・ホッターの歌ったもの
あれも半端じゃなく凄い演奏
絶望が深く深く沈潜していき
とてもやりきれない思いにさせる
素晴らしい演奏だが、もう一度聴きたいとは思わない演奏
それで充分というか
あの作品のある面完成された世界を表現していて
その視点からの演奏はより以上のものを期待できなさそう
と思ってしまったために
長らく埃をかぶっているレコード
その演奏の感じに似ている
何度も聴きたい演奏もいい演奏なのだろうけれど
一回しか聴けないような演奏も
いい演奏なのだと思う
しかし、演奏後の気持ちはもう少し幸せになれるモノのほうが
自分は好みなのだが
結局、この真面目過ぎる演奏の印象のお陰で
アファナシエフの演奏はこれ以外に所有していない
このひとは実演で聴くしか自分の集中がもたない気がする