■過去にない巨大台風の実際は
台風10号は九州西方沖を蹂躙し死者1名と行方不明者4名及び負傷者84名という被害を及ぼし現在は北朝鮮東方の日本海を中心気圧970hPsの勢力で北上中です。
台風10号、過去にない勢力での上陸ということで気象庁がいれいの会見を重ねていましたが当初は915hPsでの九州最接近という戦慄すべき勢力が予報されていたのにたいし、南大東島接近時の920hPsという勢力を最盛期として奄美大島に接近する頃には徐々に勢力を鈍化させ925hPs、九州南方に接近する頃には935hPsと年に数回ある台風となりました。
正しく恐れる必要がある。この言葉は今年春に新型コロナウィルスCOVID-19が日本国内へ浸透を始めた頃、厚生労働省が啓発した言葉です。さて、台風についても同様のことが当てはまるように思えまして、台風が勢力を増すのか減じるのか、これは多少予算を投じてでも確実にその脅威度合いを計る必要があるよう考えるのです。簡単ではありませんが。
警戒しすぎても損はない、これは至極当たり前に思える言葉ですが実際はどうでしょうか、たとえば津波災害を連想してください、大津波警報で私たちが沿岸部において確実に避難行動を執るのは大津波警報は津波がくることを確実に証明しているためです、ではもし、震度も規模も大きくない地震で大津波警報が頻発し多くが外れたらばどうでしょう。
台風を正しく恐れるためには、過去にない勢力の台風、というのであれば概算値だけではなく実際にその数値となり、毎回、過去最大というが高潮は伊勢湾台風より凄かった、過去例がないというが実際市街地で風速80m/sを観測した、というような結果でなければ、過去最大と云うが前回も大げさであったので今回もそうなのだろう、と油断を生みます。
気象予報にはもう少し予算を割くべきではないか、気象庁は予算不足から中央官庁としては異例の公式Webサイトへの民間広告掲載検討が報じられたのは今年の話です。その上で、特に国内情勢に大きな影響を及ぼす台風については、台風に直接触れてその進路や勢力の見通しなどを予報する必要はないでしょうか、具体的には台風を航空機で観測するという。
ハリケーンハンターが必要ではないか。台風の目の中に直接展開し台風内部の風速や気温、湿度や大気中イオン濃度などを直接観測する任務です。ドップラーレーダーにレーザーセンサー、気象観測衛星に海洋観測衛星、台風を観測する技術は確かに発達しているのですが、いまなお"直接観測"、これ以上の精度が高い観測手段はいまのところ存在しません。
アメリカ空軍では伝統的にこのハリケーン監視任務を継続中で、1990年代より前はグアムのアンダーセン基地に専用の飛行隊が配属されていました、空軍がハリケーン監視、太平洋では台風監視ですが、こうした任務を行う背景には、フィリピンのクラーク空軍基地、沖縄の嘉手納基地、東京の横田基地、アンダーセン基地、ここには基地が多かった為です。
アメリカ軍が台風を監視するのは軍事上必要であったためです、ただ気象衛星などの観測手段が整備されたことから太平洋での観測任務は終了しました、併せてフィリピン国内米軍基地廃止など、その必要性が低下した、という背景もあるのですが。しかしハリケーンハンターという広い視野に立てば、メキシコ湾沿岸のハリケーン観測任務は続いています。
巨大台風が接近する場合には大型機を別の基地へ待避させなければなりません、過去、ヴェトナム戦争のラインバッカー作戦など北爆が行われていた時代には台風を避けるためにアンダーセン基地のB-52爆撃機が大挙嘉手納基地へ避難した事があり誘導路までB-52があふれた、という事例が過去にありました、防衛上、台風進路は重大な問題なのですね。
ハリケーンハンターとしてアメリカ空軍は現在もフロリダ州からアメリカ本土へ接近する巨大ハリケーンへの監視飛行を実施しています、こちらは軍事目的と云うよりはハリケーンの正確な位置を把握し正確な予報に役立てる、という目的により実施されWC-130気象観測機、C-130の派生型機が対応しています、太平洋での任務は終了していますが。
空軍が現在もハリケーンハンターを実施するのは、2005年ハリケーンカトリーナを筆頭に、アメリカ本土へ及ぶ被害としては軍事的脅威よりもハリケーン脅威のほうが遙かに大きいためで、事実2005年ハリケーンカトリーナでの死者は2001年同時多発テロよりも大きくなっています。実際、この任務飛行は過去に事故もあり、安全とは言い切れません。
日本においても正確な予報を行うためにはハリケーンハンター、いやタイフーンハンターというべき任務が必要である、こう考えます。正確な予報、これがなければ安易に自治体が市内全域避難指示を乱発しては所謂"狼少年現象"を引き起こしまして、住民が自治体の避難指示を真に受けなくなる可能性が生じるためです。実際、今回は大袈裟すぎたよう思う。次も避難を継続できるか、正しい防災には正しい予報が必要です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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台風10号は九州西方沖を蹂躙し死者1名と行方不明者4名及び負傷者84名という被害を及ぼし現在は北朝鮮東方の日本海を中心気圧970hPsの勢力で北上中です。
台風10号、過去にない勢力での上陸ということで気象庁がいれいの会見を重ねていましたが当初は915hPsでの九州最接近という戦慄すべき勢力が予報されていたのにたいし、南大東島接近時の920hPsという勢力を最盛期として奄美大島に接近する頃には徐々に勢力を鈍化させ925hPs、九州南方に接近する頃には935hPsと年に数回ある台風となりました。
正しく恐れる必要がある。この言葉は今年春に新型コロナウィルスCOVID-19が日本国内へ浸透を始めた頃、厚生労働省が啓発した言葉です。さて、台風についても同様のことが当てはまるように思えまして、台風が勢力を増すのか減じるのか、これは多少予算を投じてでも確実にその脅威度合いを計る必要があるよう考えるのです。簡単ではありませんが。
警戒しすぎても損はない、これは至極当たり前に思える言葉ですが実際はどうでしょうか、たとえば津波災害を連想してください、大津波警報で私たちが沿岸部において確実に避難行動を執るのは大津波警報は津波がくることを確実に証明しているためです、ではもし、震度も規模も大きくない地震で大津波警報が頻発し多くが外れたらばどうでしょう。
台風を正しく恐れるためには、過去にない勢力の台風、というのであれば概算値だけではなく実際にその数値となり、毎回、過去最大というが高潮は伊勢湾台風より凄かった、過去例がないというが実際市街地で風速80m/sを観測した、というような結果でなければ、過去最大と云うが前回も大げさであったので今回もそうなのだろう、と油断を生みます。
気象予報にはもう少し予算を割くべきではないか、気象庁は予算不足から中央官庁としては異例の公式Webサイトへの民間広告掲載検討が報じられたのは今年の話です。その上で、特に国内情勢に大きな影響を及ぼす台風については、台風に直接触れてその進路や勢力の見通しなどを予報する必要はないでしょうか、具体的には台風を航空機で観測するという。
ハリケーンハンターが必要ではないか。台風の目の中に直接展開し台風内部の風速や気温、湿度や大気中イオン濃度などを直接観測する任務です。ドップラーレーダーにレーザーセンサー、気象観測衛星に海洋観測衛星、台風を観測する技術は確かに発達しているのですが、いまなお"直接観測"、これ以上の精度が高い観測手段はいまのところ存在しません。
アメリカ空軍では伝統的にこのハリケーン監視任務を継続中で、1990年代より前はグアムのアンダーセン基地に専用の飛行隊が配属されていました、空軍がハリケーン監視、太平洋では台風監視ですが、こうした任務を行う背景には、フィリピンのクラーク空軍基地、沖縄の嘉手納基地、東京の横田基地、アンダーセン基地、ここには基地が多かった為です。
アメリカ軍が台風を監視するのは軍事上必要であったためです、ただ気象衛星などの観測手段が整備されたことから太平洋での観測任務は終了しました、併せてフィリピン国内米軍基地廃止など、その必要性が低下した、という背景もあるのですが。しかしハリケーンハンターという広い視野に立てば、メキシコ湾沿岸のハリケーン観測任務は続いています。
巨大台風が接近する場合には大型機を別の基地へ待避させなければなりません、過去、ヴェトナム戦争のラインバッカー作戦など北爆が行われていた時代には台風を避けるためにアンダーセン基地のB-52爆撃機が大挙嘉手納基地へ避難した事があり誘導路までB-52があふれた、という事例が過去にありました、防衛上、台風進路は重大な問題なのですね。
ハリケーンハンターとしてアメリカ空軍は現在もフロリダ州からアメリカ本土へ接近する巨大ハリケーンへの監視飛行を実施しています、こちらは軍事目的と云うよりはハリケーンの正確な位置を把握し正確な予報に役立てる、という目的により実施されWC-130気象観測機、C-130の派生型機が対応しています、太平洋での任務は終了していますが。
空軍が現在もハリケーンハンターを実施するのは、2005年ハリケーンカトリーナを筆頭に、アメリカ本土へ及ぶ被害としては軍事的脅威よりもハリケーン脅威のほうが遙かに大きいためで、事実2005年ハリケーンカトリーナでの死者は2001年同時多発テロよりも大きくなっています。実際、この任務飛行は過去に事故もあり、安全とは言い切れません。
日本においても正確な予報を行うためにはハリケーンハンター、いやタイフーンハンターというべき任務が必要である、こう考えます。正確な予報、これがなければ安易に自治体が市内全域避難指示を乱発しては所謂"狼少年現象"を引き起こしまして、住民が自治体の避難指示を真に受けなくなる可能性が生じるためです。実際、今回は大袈裟すぎたよう思う。次も避難を継続できるか、正しい防災には正しい予報が必要です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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