現在の経済と政治の閉塞感を打ち破る方法はあまりない。800兆円を越える国債の発行額は国民に重く負いかぶさっている。赤字国債を発行しないで国の財政のできることはあまりない。そうすると年金や医療費の抑制といった福祉の切捨てが中心となる。それが嫌なら消費税をあげるしかないという。
消費税をあげるとしても確かに社会福祉がよくなるのであればまだいいが、現在の政府はそういう保証をしているわけではない。消費税の増税によって太った予算を福祉に使うとは限らないそういった危惧を国民の多くはもっている。その点をはっきりさせないでは消費税の増税は国民の理解を得られないだろう。
ところが800兆円にも上る国債の残高を減らす妙案がないわけではないらしい。それがインフレターゲット政策らしい。年2~3%のきわめてコントロールされた状態のインフレ政策をきっちととることができると800兆の国債赤字は将来的には解消可能だという。
現在の政府はそういう政策をとってはいないが、そういう政策をとるべきだという考えは底流としてある。もちろん、800兆円の赤字をよしとした、いままでの政府の政策を検証すべきだと思うし、その責任の所在ははっきりとさせるべきだと思うが、しかしもうできてしまったことはある意味で仕方がない。
それにしてもそういうことが机の上の計算のようにうまく実現するのかどうかはほんとうのところはわからない。そして日本ではひどいインフレに苦しめられた経験があるので、インフレと聞くとアレルギー反応を起こす。
しかし、これからの国民の大多数の収入は減っても増えはしない。その上にこの物価高である。世界の財政当局は原油の価格暴騰になすすべもない。30年くらい前にある経済学者から聞いたところでは国が財政と金融をコントロールする方法を手に入れたのではないかと言っていたが、それはどうなってしまったか。
あるブログでインフレターゲット政策の成否がいろいろと論じられる土壌はそういうところにあると思われる。