岩波書店のPR雑誌「図書」の8月号に加藤典洋氏と高橋源一郎氏との対談が載っていて、これは「言葉の整体」と題する。両氏の講義からできた書籍があるらしい。
それは「言語表現法講義」(岩波、1996)と「13日間で「名文」を書けるようになる方法」(朝日新聞出版、2009)だという。これは大学の講義で文章を書かしてそれを朗読させ、また学生に評論させるという実践の報告であるらしい。
講義ではほとんど教えない。自分で考えて文を書き、それを評論させる。はじめは何をいうつもりかはっきりとはしていなかった学生が講義の終わり頃にはすばらしい文を書くようになるという。
こういう講義は特に予備知識が必要な訳ではない。それぞれの学生がもっている、それまでの素養を開花させるところに講義の真髄があるのだろう。
そのためには「学生に文を書かないと単位をださないよ」とか「書いた文を朗読しない単位が出ないよ」とか何とかいいながら、文を書かせ、それを自分で朗読させ、それを他の学生に評論させる。そういうプロセスのくり返し(?)でいい文章を書けるような学生がたくさん出てくるらしい。
1週間くらい前に岐阜大学の英語の先生であった方の雑誌に出たエッセイを読んだが、それによると、この本来は理科系の教育を受けた、この先生が高校の英語の先生となり、少しづつ学生を教育することによってご自分の英語の力をつけていったことが記されていた。
この方のやった方法を後追いかもしれないが、少しでも真似て実践すれば、ある程度の英語の力がつくのではないかと思われた。
よく、「英語の力をつける」というインターネットのCMを見るが、ここには英語の力の修得のためのポイントは書かれていない。これはその教材を購入させるのが主眼であるからだろう。
しかし、この岐阜大学の英語の先生だったこの方は惜しげもなくそのknow-howを書かれていた。実際に力をつけるにはこの先生の実践された報告の本を読む必要があるだろうが、そのポイントはこの記事では抜かしてはいなかった。