「発見」を「 」ではさんでおく。普通ならヒッグス粒子の発見といってもいいようだが、7月4日のCERNからの発表では慎重な物理学者は「発見」として、本当の発見との発表からは少し留保をしたらしい。
Higgs機構によって粒子が質量をうるというのが、この粒子の売りである。
ゲージ粒子のようなボソン(スピン整数の粒子)とクォークやレプトンのようなスピンが1/2のような半整数のフェルミ粒子に加えて、スピンが0のスカラー粒子が本当にあるのか。もちろんヒッグス機構を信じるものはヒッグス粒子の存在は強く信じていただろう。
だが、実験的に見つからなければ、その存在はあくまでも仮説である。それが自然現象を相手にする物理学の立場である。そこらへんは数学が論理的に可能であるならば、それで十分であるというのとは違っている。
新聞とかテレビではその質量がいくらというのを報道していいなかったので先ほどインターネットを検索してみると、124 GeVと出ていた。
もちろん幅があるので、ドンぴしゃりではない。それはご了解をお願いしたい。
もう何十年も前に一度勉強しただけなので、あまり覚えていないのだが、今日見たサイトの説明ではポテンシャルの形がワインボトルのような形である。
ちょっと説明をすると、ワインボトルは円形のボトルの底の中心は盛り上がっており、そのまわりの中心から離れたところに低い底がある。このような形がポテンシャルの対称性の自発的破れを引き起こすのだが、このワインの瓶の中心でないところの円周の溝のところが真空の期待値を与えている。
そして、円周のみぞに沿ってのモードがNambu-Goldstone モードを与えて、これらはWボソンやZボソンに一部吸収されて、これらに質量を与えると説明があった。
ヒッグス粒子はこの円周に沿ったモードではなく、その円周上の底から中心の方へ向かってのモードであり、そして質量をもつとあった。
これが正しい説明となっているかどうかは今の私にはわからないが、多分正しいと思う。もし私の説明が正しくないとしたら、それは私の理解がまだ十分ではないことを示しており、多分wikipediaの説明のミスではないであろう。
もっともwikipediaの説明を読んでわかる人は専門家であり、普通の人には多分チンプンカンプンであろう。それは仕方がない。(これは普通の人には理由を理解できないという意味ではない。科学というものは手順を踏んで理解していけば誰にでもわかるはずのものである)
昨夜のドイツ語のクラスへ行ったら、好奇心溢れる、元牧師のOさんから聞かれたので、ここで説明をする気になったが、果たしておおよその感覚をつかむことができたでしょうか。
なぜ、ワインボトルのような底が実際に考えられたのかはワインに関していえば、ワインの澱をそこに溜めるためと昔聞いたが、本当だろうか。
物理の話に戻ると、はるかな記憶では水あめの中を動く粒子というようなイメージはなく、各素粒子の相互作用ラグランジアンに真空の期待値から来るところの質量項に対応した項が出てくるというのであった。確かに宇宙がワインボトルのようなポテンシャルではなく、y=x^{2}で表されるようなポテンシャルであれば、すなわち中心が最低の低い場所であれば、真空の期待値は0であり、質量項は出てこない。