NHKの教育TVの宇宙白熱教室というのを昨夜見た。
物理学者の秘密の仕事というのは秘密でどこかの国のスパイをしているという話であるとか。
冗談はさておき、物理学者はものごとをどのように捉えているかということだが、聞くに値するものだった。
第一に自然界の現象を実験によって捉まえる。そのときに細かいことに囚われずに大雑把に捉えるという。小さなことに拘らない。
どうやって大雑把に物事を捉えるのか。例として挙げていたことがおもしろかった。乳牛は複雑な形をしているが、物理学者は半径が r の球と考える。
普通の大きさの乳牛はいるが、なぜその倍の大きさの乳牛がいないのか。体積と質量とその表面積からもし乳牛の大きさが2倍になれば、体積は8倍になり、その乳牛の表面積は4倍にある。
乳牛の皮膚にかかる張力は2倍(?)になり、乳牛の皮膚はその圧力を支えきれないとか。
つぎに大きさのオーダーでものごとを捉える。太陽の密度と温度はその半径Rの関数であるとする。
そして核融合で発生したニュートリノの数を観測と比べたところ1/3しかなかった。これは太陽で発生したニュートリノの数が間違っていたわけではなく、ニュートリノが測れない別のものに変わっていたということがわかった。
ある数a^{n}とa^{m}の積はa^{n+m}であり、これを用いて10の累乗でものごとの数値を測ると計算のときにも見当がつきやすい。
つぎにFermi問題と言われているものをとりあげた。100万まで数を数えるのにどれくらいの時間がかかるか。答えは1週間くらいということであるが、その前に答えを予想させて聴講者からその答えを聞き取っていた。
まるで、仮想実験授業のようである。
シカゴの人口が500万人として何人のピアノ調律師がいるかという、有名なFermi問題も出た。100軒に1台ピアノがあるとし、1年に1回ピアノの調律をするとすれば、10人の調律師がいるという。
最後は次元解析の話であったが、これは専門家は知っているとしても普通の人には珍しい話であったろう。
(2014.6.29付記) あまり本になったりしていないことで、order of magnitudes(大雑把に物事を捉える)の話とか次元解析の話とかいった話を書いた詳しい本が欲しい気がする。ロシアの物理学者ミグダルの書の日本語訳があることを知っているけれども。
外国語の本ではそういう本はあるのかもしれいないが、日本語ではある書の中で部分的に取り上げられることはあるのかもしれないが、そのような書の集大成したものがほしい。
それと物理学者は何にでも答えることができなくてはならないというイタリア生まれのアメリカの物理学者Fermiの意図を体現したようないわゆるFermi問題を考える考え方を説いた書も必要であろう。
そういう書はいくつかすでに日本でも出版されているかもしれないが、私はあまり知らない。