「作詞家はえらい」とブログで紹介した子どもの歌だが、これは私が知っている歌としてはとても古い。
すでに私が4,5歳のころだから西暦でいって1943年か1944年ころのことである。その頃には朝鮮(今の韓国)のある小さな町に私たちは住んでいた。その小さな家のキッチンで母が私に歌ってくれるともなく歌っていたのが、グー・チョキ・パーの歌であった。もっとも歌詞はまったく違っていた。
おや、まだ眠いの、花ちゃん、花ちゃん
朝の鐘が鳴りまするど
リン・レン・ドン、リン・レン・ドン
というのであった。これはこの歌を知った最初である。
ところがこの歌を私が高校生のころ(1955,6年)だったか、小学校生だった妹が英語で教わってきて、朝の寝床で歌っていた。
Are you sleeping, Are you sleeping,
Brother John ? Brother John ?
Morning bells are ringing, Morning bells are ringing
ding,ding, dong, ding,ding, dong
これは「おや、まだ眠いの花ちゃん」との類似性があることがすぐにわかるであろう。
私が大学3年(1961年)のとき、教職のコースの履修をあきらめた、わたしにはかなり授業時間が空いていた。それで第三外国語として入門のフランス語の講義に出ることにした。これは仏文専攻の1年生の学生のクラスであった。その講義を担当された N 教授は K 大学の出身の方であったが、私を理学部のムシュ―と呼んでくれて、何かにつけて引き立ててくれた。多分、フランス語を学ぶ理系の学生は数学を専攻する学生を除いては少なかったからであろう。
そういうこともあって、NHKのラジオの入門講座のフランス語の放送を聞き始めた。そのときの講師は前田陽一先生であった。その前田先生が入門の講座のはじめの放送でご自分で歌ってくれた曲が上の歌であった。もちろんフランス語で。
Frere Jacques, Frere Jacques, (フレール ジャック、フレール ジャック)
Dormez-vous ? Dormez-vous ? (ドルメー ヴー、ドルメー ヴー)
Sonnez les matines ! Sonnez les matines ! (ソンネー レ マチネー、ソンネー レ マチネー)
Ding ! Ding ! Dong !(ディング、ディング、ダン)
Ding ! Ding ! Dong !(ディング、ディング、ダン)
である。下のインターネットによって元の原稿を修正したが、アクサン グラーブはつけていない。(下記参照)
ちなみに、インターネットからのコピーは以下の通りである。
第一声:Frère Jacques, Frère Jacques, (ジャック修道士よ、ジャック修道士よ)
第二声:Dormez-vous ? Dormez-vous ?(お眠りですか? お眠りですか?)
第三声:Sonnez les matines ! Sonnez les matines !(朝のお勤めの鐘を鳴らしてください! 朝のお勤めの鐘を鳴らしてください!)
第四声: Ding ! Ding ! Dong ! Ding ! Ding ! Dong !(キン! コン! カン! キン! コン! カン!)
そのときに前田先生の説明があったのかどうかは覚えていないが、フランスの修道院で修行している若い僧をFrere Jacquesと呼んでいる。若いから朝が眠たいのだが、それでも修行を始める朝の合図の鐘を鳴らす仕事をこの僧がいい遣っていたのであろう。
この歌は歌詞の意に反して、子守唄として使われていたのであろうか。そこら辺の事情はよくはわからない。最近はインターネットで何でも調べることができるから、もし調べて判明すれば、付記するつもりである。
そしてこの歌が最近の子ども歌として「グー・チョキ・パーで」としてリバイバルしていたとはつい先日まで知らなかった。この作詞をした方は斎藤二三子さんという方だとインターネットにあった。