昨夜のNHKの9時からは「人体」のシリーズで「遺伝子」を取り上げた第2回であった。
新聞の番組紹介欄に紹介があったことだし、それにそろそろ今年の徳島科学史研究会で話すテーマを決めなければならないので、関心をもってこの番組を見た。
というのは数年前に伊藤康彦『武谷三男の生物学思想』(風媒社)が出版されて、武谷三男がメンデルの遺伝学を認めなかったというので、だいぶん批判されたからである。
その後、メンデルの遺伝学自身は基本的に正しいものの、その遺伝子の発現させるかさせないかのスイッチがあるということ知られるようになり、これは「エピジェネティクス」と呼ばれている。
昨夜の話では2万もの遺伝子のスイッチがあるという。だから、昔風の獲得形質の遺伝は否定されているものの、遺伝子の影響はスイッチのオンとオフでその影響は大いに異なるということがわかってきた。
また、環境によって、遺伝子が変わってくるという可能性もあるかもしれないということになってきた。
だから、伊藤康彦さんの武谷批判は昔風の意味では正しいのだろうが、現代的な意味では果たして正しいのかどうか。というか、自然のいろいろの可能性までを考慮すると、そんなに簡単に批判してすむものなのか。
これが、今私の考えているところである。