小さなミスを今朝の朝日新聞を読んでいて見つけた。
このブログでギャアギャアと叫ぶことではないが、天下の朝日新聞で起こった出来事なので記録として残す。
これはニュースの記事ではなく、哲学者・鷲田清一さんの書いた短いコラム「折々のことば」に出ているミスである。
今日の「折々のことば」はひさしぶりに英語であり、
everybody to count for one,
nobody for more than one
であった。これにミスはなかろう。しかし、その下に 訳がついていた。
「だれでも一人として数え、だれも一人以上に数えてはならない」
この訳を読んで、実は上の英語の意味がわかった。それはいいのだが、この訳の後半はいけない。nobody for more than oneを「だれも一人以上に数えてはならない」ではなくて「だれも二人以上に数えてはならない」と訳するか、それとも「一人よりも多くに数えてはならない」にしなければいけないであろう。
いやこれは日本を代表する哲学者の鷲田さんを責めるつもりではない。むしろ優秀な編集者をそろえている朝日新聞社のミスであろう。
校正部員から筆者の鷲田さんに先生ちょっとこの訳はまずいのではないですかと一報を入れて、校正部員が注意を喚起すべきであった。
ひょっとしたら、これは鷲田さんが引用した訳本での訳のミスだったかもしれない。
こんな細かなことで鬼の首をとったようなことをいうのは気が引ける。
少なくとも新聞を読んでこの文章はおかしいなと思ったことは皆無だから、これは朝日新聞だけではなく、すべての新聞の校正部員の優秀さを示しているのだろう。
それでもときどき新聞紙上で記事の修正が出るが、これはたいていデータの確認が十分でなかったためのミスであり、論理的または文章上のミスではない。
いや、自分でも本を数冊出している身としては、かなりのミスがあるのはもう人に言われるまでもなく、さけがたいことだと知っているからである。