ポントリャーギンの『数概念の拡張』(森北出版)の四元数の章を以前から読んでいる。
はじめはベクトル空間について書いてあり、つぎに計量ベクトル空間について書いてある。その後にようやく四元数の話となる。
前の二つの部分をようやく読み終わって、今は四元数の幾何学的応用のところを読んでいる。
実はこの部分は前にも2014年に『四元数の発見』を書いたときにも読んだのだが、あまりよくわからなかった。
それでも本を書いたというのはちょっと強心臓にはちがいないが、それでも四元数についてのポイントははずしてはいなかったはずである。
今『数概念の拡張』を読んでみると前にはわからなかところがわかるようになっていたり、やはりわからなかったりといろいろである。
平行して、F. クラインの"Elementary Mathematics”を読んでいるのだが、気の向いたときに気の向いた方を読んでいる。こちらも同じようなことを書いてあるのだが、それでも違っている。
こちらの方はいま4次元空間の直交変換にあたる、話のところを読んでいる。ところがこれがわからない。4次元世界は関係がないようにも思われるが、ローレンツ変換で不変な世界であるので、物理的にも関心がないわけではない。
もっともミンコフスキーの世界と純然たる4次元世界とはメトリックがちがう。式で書くと
x^{2}+y^{2}+z^{2}-(ct)^{2}=const
が不変である世界(ミンコフスキー空間)と
x^{2}+y^{2}+z^{2}+w^{2}=const
が不変である純然たる4次元世界とはもちろん違うが、それでも似ている部分もないではない。
そして、その自由度の話がF. クラインの"Elementary Mathematics”には書かれているのだが、なかなかわからないというのが現状である。この混迷から抜けられるのはいつになるだろうか。