ポントリャーギンの『数概念の拡張』(森北出版)の四元数の章を先日から読んでいる。ポントリャーギンは四元数を計量ベクトル空間のベクトルの一つとしてとらえていて、まさにその通りである。
だが、別のやはりロシアの数学者たちが書いた本ではベクトル空間についても説明があるみたいだが、とどのつまりは多元環へと導くための導きの糸であるという観点らしい。この『超複素数』(森北出版)のほうが説明が詳しそうである。
ポントリャーギンの名著と言えば、言わずと知れた名著『連続群論』(岩波書店)であろうか。この本のはじめの2章か3章を大学院に入った直後に故池田峰夫先生のセミナーで読んだことがあったが、残念ながらこれはまったくわからなかった。
池田先生はセミナーの終わりにこの本の後ろの方の章が、素粒子物理学の連続群の表現に使えるとかタネ明かしをされたが、そういわれても連続群論にもう嫌気がさしていた私には、どうにもならなかった。
ポントリャーギンといえば、遠山啓の『無限と連続』(岩波新書)には盲目の幾何学者とあったように思う。とにかく数学者でポントリャーギンの名を知らない数学者などいないだろう。
なんでも小さいときだったかに、ある爆発事故に巻き込まれて目が見えなくなったが、お母さんが彼の学校についていって、学習教材を読み上げてくれて、数学等もまなび、優れた幾何学者となったとか。