「なぜ星で実現している核融合反応が地球上で難しいのか。頭のいい皆さん、考えてみてください」と土曜日に書いた。
これは少し自分の頭でも皆さんに考えてもらうということで、おもわず教師根性が出てしまった。すみません。
答をいえば、恒星ではその質量が大きいために重力が大きく、その力で核融合するプラズマは星の内部とか表面にとどまるのだが、地球上ではそのような大きな重力は核融合反応を起こす物質には働かない。だから、地球上ではむりやり他の大きな力を働かせて核融合する高温のプラズマを閉じ込めなければならないのである。
核融合炉の一番中側の閉じ込めの力は磁場であるが、その周辺には金属リチウムでできた分厚い壁でプラズマを囲むように核融合炉を設計するのだが、その金属リチウムの壁が一年に70センチも熱で蒸発してしまうとか聞いたのももう30年くらい前となってしまった。
いまではもっといい材料ができているだろうか。それとも旧態依然だろうか現状は知らない。
武谷三男・豊田利幸共著の岩波講座『原子炉』ではさすがに核分裂炉の原理について書く前に核融合反応のことに触れてある。これは隠れた名著だという人もいるが、もうちょっと立ち入った説明をしないと私たちには難しいのではないかと思っているが、現在ではあまり原子炉の原理など書いた本に需要はないだろうか。
私の世代の物理屋としての教育の中には原子炉の原理は学ぶということは入っていなかったが、工学部の先任の教授の方の講義に原子炉の原理を教える内容が入っていたので必然的に私もこれを学ぶことになった。もっとも専門家ではないので、さわりだけであるが。