接続法第1式とはドイツ語の中でもあまりお目にかからない語法である。
これは私などは話すドイツ語を中心にして学んでいるからである。もう46,7年も前だが、ドイツに留学するためにドイツ語の力のテストを大阪のゲーテ・インスティテュートで受けたことがあった。
このときにペーパーテストを受けたとき、引用文でer habeなどといういい方がでてきたので、全部er hatが正しいとしてしまった。
このときにゲーテ・インスティテュートの先生から「会話はそこそこできるが、文法をもう少し学ばねばならないですね」と、もちろんドイツ語で言われたが、その意味するところがわからなかった。
要するに接続法第1式の用法を知らなかったということであった。そのことをはっきり認識したのはごく最近である。20歳くらいからドイツ語を学んでいるとすれば、60年以上たってようやく接続法第1式について認識したというのはあまりにも遅すぎるが、まったく認識しないよりはよかったろう。
接続法は第2式もあり、こちらの方はいくら私がうっかり者だと言っても昔でも知っていた。しかし、第1式の方はNHKのラジオ講座でも初級ではあまり取り上げなかったような気がする。
初歩の段階ではそれでもあまり問題はないし、それでも大手を振ってドイツ語通として私ははばかってきた。
ドイツ語は書かれた文章を学ぶと英語が得意な人ははじめ戸惑うことがあろう。私も自分が英語が得意だというのははばかられるが、それでもドイツ語の語順はほとんど英語と同じだと思っていたから、ドイツ語は理解できない言語であった。
基本はあまり英語とは変わらないのだろうが、それでもドイツ語には独特の配語法がある。それを認識することができなかった。
だから、私は配語法をはじめに英語と対比させて教えるべきだと思っている。動詞の人称変化だけではなく、不定冠詞や定冠詞等の格変化とかも大切な要素ではあるが、やはりはじめにドイツ語の動詞を中心とした配語法を教えるべきだと思う。