(E, H) 対応か、(E, B) 対応かの論争は決着がついていて(E, B) 対応がいい。
要するに、磁性のオリジンをどう考えるかであるが、昔は磁極というものがあると考えていたが、そういう磁石の基になる磁極というものがあるのではなく、微小なサイズの閉じた電流が磁石の基になっているという考えが一般的になってきた。
そういうと磁石というのが現にあるではないかといわれるだろうが、それらも微小な閉電流が磁石の基になっているという風に現在では考えられている。
私たちが電極と磁極との対応をつけて電磁気学を学んでいたころからすでに微小閉電流が少し遠くから見れば、磁気双極子とみなされるということはわかっていたが、それがもう一歩踏み込んで、磁気双極子はすべて磁荷とかではなくて、むしろ微小閉電流が起源であると考えるのが一般的である。
それで、(E, H) 対応ではなくて、(E, B) 対応の電磁気学が教えられるようになった。だから、古いテキストはあまり読まれなくなっている。
私が学生のころにもマグネティック・モノポール(磁気単極子)を実験的に探すという研究を行っていた方もおられたが、結局は実験的にモノポールはみつからなかった。将来的にはどうかわからないが、たぶんモノポールを必要とはしないであろうから、いまの電磁気学(E, B) 対応が一般的に認められている。
私の友人に磁性の専門家がいるが、彼がどのように考えているか、いつか聞いてみたい。
少なくともdiv B=0は電磁気学の基本方程式である、Maxwell方程式の中にあるので、磁極はダイポール(双極子)としてしか存在しないことはわかっていた。
磁気モノポールは磁石を2つに切ると、その小さくなった磁石の両端にN極とS極が生じる。それをまた2つにより小さくしても、やはりその両端にN極とS極が生じるということでN極だけの物質とか、S極だけの物質は現れない。
もしN極だけの物質とか、S極だけの物質があれば、それを磁気モノポールというのだが、少なくとも実験的にはそういうものは見つかっていない。
これは電気の源である、荷電粒子があるのと対照的である。電気にはプラスの電荷をもった粒子とかマイナスの電荷をもった粒子が存在するのに磁性の方にはそういうものがない。
だから、電気と磁気とは似た側面もあるが、やはりちがっているものだと認識がある。だが、電流が流れるとその周りの空間が磁場をもったり、磁場が変化すると起電力が生じて、電流が流れたりするので、関連があるのは確かである。
そして磁場の変化によって電流をつくるのが発電機の仕組みでもある。
ともかくも電気の現象と磁気の現象の間に関連性がみとめられてそれがMaxwell方程式にまとめ上げられた。
その後の大きな発展は現在使われているような電波の利用である。テレビとかラジオやさらに衛星中継の電話だとか、携帯電話とかスマホの利用はすべて電磁気学にその起源がある。