双対基底と相反基底という類似の概念がどうちがうのか。迷っている。
相反基底(reciprocal bases)とは結晶幾何学での基底をさす。ところが一方でまったく同じようなベクトル空間での双対ベクトル空間でも元のベクトル空間でのベクトル基底と積をつくると、1となるような基底を双対基底(dual base)という。この場合の双対はdualというのが普通である。
ところが、これはおなじものものを結晶幾何学では相反基底という。
双対は「そうつい」と読む。「そうたい」と読むと相対性理論の相対とまちがえるからである。
ベクトル解析のテクストの中でこの相反基底という語を使っているのは吉本武史さんの『数理ベクトル解析』(学術図書)にしかこの表現を見ていない(注1)。
他のベクトルの本はほとんど双対基底という語を用いている。
双対性ということについて詳しい議論をしてある書に高橋秀俊先生の『数理と現象』(岩波書店)がある。
それでこれも昨日だったか、朝起きたときにすぐにこの書を出して、その部分を拾い読みして見たのだが、この二つは違うとかいてあったが、それでもはっきりとちがうとまで言い切ってはいないようである(注2)。
数学の用語辞典みたいなものの中にその違いがあるのかと探してみたが、あまりそういうことを書いてあるものを見つけられなかった。
(注1)結晶幾何学の本を除く。双対ベクトルのいい例は結晶幾何学で現れる相反基底だと思うのだが、それに言及してある書はあまりない。
(注2)実はこの本棚のすぐ前に私のベットがある。
(2022.2.8注) 言葉だけは双対空間だとか双対ベクトルだとかなじむようになったが、微分形式とかでも線形汎関数だとかいわれてもなかなかぴんとはこない。もっとピンとくるような説明をしなければなるまいと思う。