永田町は第3次小泉内閣の最後の年以来の長期夏休みモードということになり、野党は国会がなければなにもできないので、泰然自若が大事ですが、きょう2013年8月12日(月)午前8時50分、注目の経済指標が出ました。
内閣府の経済社会総合研究所(旧経済企画庁)は、2013年4月から6月までの(4-6しろく)のGDP第1次速報値を出し、実質で0・6%年率に換算して2・6%、名目0・7%年率2・9%となりました。
「2・6%」は市場の予想よりも、私の予想よりも、かなり低い数字で驚きました。株式市場も全面安になっており、「消費増税ができないのでは」という観測が国内外の投資家に広がっているものと思われます。
4月4日に黒田新総裁が臨んだ日銀金融政策決定会合で、まさに「異次元の緩和」があり、猛烈にマネーのバルブがあきました。さらに、平成24年度第1次補正予算と、1本目の矢、2本目の矢が放たれました。これに関して、「アベノミクスで景気が良くなるのか」との論点を提示した人がいましたが、これだけの金融緩和と、税金の直接投入をすれば、景気が良くなるのは当たり前。かりに良くならなければ、例えは悪いですが、血管の病気だったり、あるいは、開放経済で外国に富が抜ける構造になっているという別の問題があります。
さきほど出た数字を見ると、政府最終消費支出は0・8%増となっています。当然のプラスですが、それでも少ない気がします。暫定予算を5月20日まで組んだ(本予算は5月15日成立)という異例のスケジュールが良かったのか。官公需の発注に、多少なりとも不安や、端境期があったのではないでしょうか。今後、予算委員会や決算委員会での検証が待たれます。
そして、住宅投資が、実質ではマイナス0・2%となりました。本来ならば、来年4月に向けて駆け込み需要があっていいはずなのに、あまり駆け込みがない。駆け込みを狙って、ローン審査が甘くなり、身の丈を越えた豪邸を購入しては不幸ですが、ちょっとマイナスになる理由が分かりません。
さらに、設備投資もマイナスです。これに関しては、私の持論があります。これからしばらく、一時的な設備投資の増加は、それにより、在庫の一掃をもたらして、後継者のいない社長がこれを機に黒字廃業することもあるのではないでしょうか。このような新しい経済学があるように、私は感じています。
民主党の良心的な多くの議員は、「社会保障の安定財源の確保などを図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法などの一部を改正する法律」をつくりました。法律番号平成24年第68号として、8月22日に天皇陛下が公布されました。
この中で「消費税率の引上げ前に、種々の経済指標を確認し」「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」とあります。これは、「(法律事項ではなく)政令事項」なので、立法府の手を離れ、行政府、すなわち安倍内閣の署名による政令に委任されています。ですから、「政治生命をかけた法律だから施行してほしい」というのは本来的に、立法府あるいは永田町では通用しない論理です。しかし、しっかりと未来への責任を果たすために、安倍さんにはやってほしいです。
今、財務省と官邸という新しい対立が生まれているようです。理由は分かりませんが、人口的にバブルを起こしても、2・6%しか上がらない錆びついた日本。物価安定目標の「年2・0%」になると、この後の持続的な経済成長が必要ですが、常識的には厳しい数字ではないでしょうか。
麻生財務相は通常国会中に「地価も勘案する」というように予防線を張っています。世界が日本に求めているのは、何よりも財政健全化、国家の持続性であることを、安倍総理はわかっているでしょうが、与党のすべての政治家にかみしめてほしいところです。