【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

TPPと畜産価格で、参議院農林水産委員会「重要5品目決議とTPP」を今後判断 閉会中審査

2015年12月09日 15時52分45秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

[写真]参議院議員会館、2015年5月、筆者宮崎信行撮影。

【平成27年2015年12月9日(水)政令】 

 改正活火山対策特別措置法(平成27年7月8日法律52号)の施行日があす10日(木)とする政令が公布されました。この法案は延長国会になってから政府が提出した唯一の法案ですが、年内に施行するはこびとなりました。

【同日 参議院農林水産委員会】

 TPP大筋合意後、初めての委員会となりました。

 議題は、(1)TPP、(2)畜産物の価格について。(2)については例年この時期に国政調査があります。

 質疑の後、例年通り、「畜産物価格等に関する決議」が賛成多数で可決されました。

 質疑では、衆参農林水産委員会決議「重要5品目」について、民主党の徳永エリさんが「どこからどう見ても委員会決議は守られていない」と語りました。森山農相は「国会決議は守られている」と答弁。徳永さんが「委員会として判断してほしい」と水を向けると、山田俊男委員長(自民党)が「これは大事なことですから、理事会で協議して、判断します」と述べました。

 森山農相ら政務三役は冒頭6分間あいさつ。森山農相は「大臣就任後、この委員会は初めて」とし、農政全般の課題を語りました。民主党のベテラン、小川勝也さんは「大臣は以前、ここに座っていた」と語り、森山さんの院替え前は参農水委員だったことを強調しました。

 徳永さんは、TPPについて「ほとんどの果汁や果樹の関税が即時撤廃されると思わなかった」とし対応を求めました。また、酪農ヘルパーの成り手が減っているると指摘しました。

 自民党の舞立昇治さんは子牛の高騰の対策を求めました。

 公明党の平木大作さんは、ウルグアイラウンド対策について「自民党のみなさんは先輩(谷津元農相)から(政調農林部会で)話を聞いたようだが、私は(公明党なので)聞けないので、予算書を調べました。そうすると、予算書の費目は現在とあまり違わないものが多い」と語りました。森山農相は、「UR(ゆーあーる)対策は農地集約や若手就農者の拡大に効果があった」と具体的な数字を例示しながらも、「温泉施設など無駄なものもあった」と認めました。

TPP決議は次の通り。(衆参とも同じ文面)

[TPP決議について衆議院ウェブサイトから引用はじめ]

環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する件

本年三月十五日、安倍内閣総理大臣はTPP協定交渉への参加を表明し、四月十二日、TPP協定交渉参加に向けた日米協議に合意した。

そもそも、TPPは原則として関税を全て撤廃することとされており、我が国の農林水産業や農山漁村に深刻な打撃を与え、食料自給率の低下や地域経済・社会の崩壊を招くとともに、景観を保ち、国土を保全する多面的機能も維持できなくなるおそれがある。また、TPPにより食の安全・安心が脅かされるなど国民生活にも大きな影響を与えることが懸念される。

これまで本委員会では、平成十八年十二月に「日豪EPAの交渉開始に関する件」を、平成二十三年十二月に「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に向けた関係国との協議に関する件」をそれぞれ決議し、二国間、複数国間の経済連携協定が、我が国の農林水産業や国民生活に悪影響を与えることがないよう、政府に十分な対応を求めてきたところである。

こうした中、本年二月に行われた日米首脳会談における共同声明では、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在することを認識」したとしており、政府は、この日米首脳会談において「聖域なき関税撤廃が前提ではない」旨確認したとして、TPP協定交渉への参加を決断した。

しかしながら、我が国には一定の農産品以外にも、守り抜くべき国益が存在し、この確認がどのように確保されていくのかについても、その具体的内容はいまだ明らかにされていない。そのため、各界各層の懸念はいまだに払拭されておらず、特に、交渉参加について農林水産業関係者をはじめ、幅広い国民の合意が形成されている状況ではない。

 よって政府は、これらを踏まえ、TPP協定交渉参加に当たり、左記の事項の実現を図るよう重ねて強く求めるものである。

               記

一 米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。

二 残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務、遺伝子組換え種子の規制、輸入原材料の原産地表示、BSEに係る牛肉の輸入措置等において、食の安全・安心及び食料の安定生産を損なわないこと。

三 国内の温暖化対策や木材自給率向上のための森林整備に不可欠な合板、製材の関税に最大限配慮すること。

四 漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること。仮に漁業補助金につき規律が設けられるとしても、過剰漁獲を招くものに限定し、漁港整備や所得支援など、持続的漁業の発展や多面的機能の発揮、更には震災復興に必要なものが確保されるようにすること。

五 濫訴防止策等を含まない、国の主権を損なうようなISD条項には合意しないこと。

六 交渉に当たっては、二国間交渉等にも留意しつつ、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること。

七 交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。

八 交渉を進める中においても、国内農林水産業の構造改革の努力を加速するとともに、交渉の帰趨いかんでは、国内農林水産業、関連産業及び地域経済に及ぼす影響が甚大であることを十分に踏まえて、政府を挙げて対応すること。

 右決議する。

[引用終わり]

このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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