【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

2016年度国債発行計画でキャッシュフロー改善、借換債減り、60年~40年債増え、短期減る

2015年12月23日 11時07分46秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

[画像]安倍首相(自民党総裁)、2015年2月2日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 平成28年度2016年度の、1年間の国債の出入り、キャッシュフロー(CF)である、平成28年度国債発行計画は、年162・2兆円となりそうです。あす、24日(木)の本予算(案)とともに閣議決定されます。

 黒田東彦日銀総裁(昭和42年大蔵省)が進める財政ファイナンス効果による円安で、法人税収が5兆円単位で上振れしながら、歳出の前提となる概算要求は名目円で見積もるため各府省は知らず知らずのうちに、実質で予算が減らされていることになります。

 この法人税収回復と、消費税増税効果で、新規国債は年34兆円まで改善します。

 償還期限が来て、財務省理財局が元本プラス利息を現金化しなければならない国債を丸ごと借り換えてしまう、借換債は年109兆円。これは3年前の近いうち解散で自民党に特例公債発行法案を吊るされた年よりも低い額になりました。

 年数では、まず、60年物の建設公債が、今次補正(=案、再来週月曜日に国会提出) で増額補正され、赤字公債は減額補正されます。

 新発では、40年物が年2・4兆円となり、前年比2割増し。島国で人口の社会的流出入がない日本ですから、大いに評価したいし、売れるでしょう。

 長期金利の基準となる、10年物は変わらず。その一方で、20年債は1割減らします。これは、日銀の需要と、市中銀行の供給という需給を引き締めることで、20年債の値段を上げる(金利を下げる)ねらいだと考えられます。

 利払い総額を水ぶくれさせる、5年債、2年債、1年債などの短期国債はすべて減額。

 このような財政ファイナンスの進展で、国庫のやりくりはかなり楽になりました。

 税金と社会保険料と特例公債でやりくりする国庫が楽になるということは、相反して、家計は苦しくなります。

 しかしイチバン大事なのは、政権交代ある二大政党政治を実現しなかった世代と、それより若い世代の世代間格差の是正です。そのために、財政ファイナンスを進める、安倍自民党内閣と黒田日銀総裁の金融政策は、一定の評価をします。

 なお、岡田克也さんは現在民主党代表として財政ファイナンスについては「定義がはっきりしない」と言及し、反対の立場だと思われます(2015年12月現在)。

 以下は、参考まで。

 3年前の岡田克也副総理・社会保障と税の一体改革担当大臣と、筆者・宮崎信行の国債発行計画キャッシュフローをめぐる問答。このときは、平成24年度特例公債発行法案(年44兆円)を野党・自民党につるされて与党・民主党は精神的にかなり追い込まれていた時期です。

[首相官邸ウェブサイトもしくは岡田克也(岡田かつや)公式ウェブサイトから引用はじめ]

岡田副総理記者会見要旨 平成24年8月3日
(平成24年8月3日(金) 17:20~17:44  於:合同庁舎4号館1階108会議室)

(中略)

(記者)
 フリーランスの宮崎信行です。火曜日にありました特例公債法案の修正承諾要求についてお伺いいたします。
 この法案ですけれども、タイトルからして変わりまして、「平成24年度における特例公債法案」の「平成24年度」が削除されています。その上で、今年度及び来年度において、いわゆる年金交付国債をやめて、つなぎ国債というふうに報道されていますけれども、年金特例公債というものを発行するというふうな形になっています。
 これに関連してなのですが、まず安住財務大臣が以前からもそうなのですが、この修正に関する趣旨説明の後の自民党議員からの質疑に対して、10月末の時点で1兆円程まだ今年度の税収及び税外収入の見通している額に歳出が若干まだ1兆円余るというふうにおっしゃっています。
 これを考えると、10月末の辺りで法案のほうを仕上げるということでもいいのかなというふうにも受け取れるのですが、その全体の国庫の見通しをどうお考えになられてますでしょうか。

(岡田副総理)
 それは、そこまでいくと足らなくなると、こういう意味であって、そこまで大丈夫だということではないと思います。そもそもこれはヨーロッパの金融情勢も非常に脆弱な、そういう状況の中にあって、そういうリスクはなるべく減らしておくというのは国として、政府として当然のことだと思います。

(記者)
 それで、全体、国庫のキャッシュフローということでいきますと、今年の国債発行総額というのは、実際174兆円なのですね。これは幸か不幸か、借換債が112兆円もありますので、いいこととは思わないですけれども、こういったものをもうちょっと回していけば、長期の借換をもうちょっと短期に借り換えるというふうなことをしていけば、キャッシュフロー自体はもつのではないかと。その中で、財政健全化を考えれば、一体改革を確実に成立させるほうが国債市場にも国内外に向けてのメッセージにもはるかに大きいと思います。
 その中でお伺いしたいのは、この特例公債法案ですけれども、9月8日までの会期末に100%成立させる、すなわち総理の総辞職であるだとか、衆議院解散を引き替えにしてでも、必ず野党を含めて衆参可決成立させたいのか、それとも99%以上の確率で成立させたいのか、そのいずれかなら如何でしょう。

(岡田副総理)
 そういう仮定の議論は答えないほうがいいと思うのですね。我々としては、これは非常に重要な法案ですので、是非この国会でということで従来からお願いしているところです。
 今お話の要するに資金繰りというか、そういう意味では、借換債とか財投債とか、いろいろなものがあって、やり繰りできるはずではないかと。それはお金に色がついてないと言えばそれまでですが、そもそもこの特例公債をどうして毎年、毎年法律でもって発行することになっているのかという趣旨に立ち返れば、そういうお金のやり繰りができるから、それでいいではないかという議論にはならないはずだと私は思います。

(後略)

[引用終わり]

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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