宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

稲田防衛大臣、破壊措置命令を恒久的に発動 改憲国会で緊急事態条項(戒厳令)の布石か

2016年08月08日 23時35分11秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

政府 北朝鮮ミサイルに備え破壊措置命令 

 報道によりますと、稲田防衛大臣は「北朝鮮による弾道ミサイル発射の兆候が事前につかみにくくなっている」との理由で破壊措置命令を出しました。当面3か月ごとに更新。

 イージスシステムが発動し、海上自衛隊のイージス護衛艦、陸上自衛隊のPAC3ペトリオットミサイル(パトリオットミサイル)のレーダーが常時動くことになります。とくに、陸自のPAC3常時展開は隊員の負担を増すでしょう。

 防衛省・自衛隊のホームページにはまだ載っていませんが、11月8日(火)ごろまでとみられます。

 この時期には、衆議院憲法審査会や、参議院憲法審査会の議論が進み、おおむね、第1章天皇、第2章平和主義、第3章基本的人権の審議が終わりかけを迎える時期と考えられます。このため、自民党憲法改正草案で、新第9章の新98条99条として挿入する、緊急事態条項の布石と思われます。

 自民党憲法改正草案で緊急事態条項は「100日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、100日を超えるごとに事前に国会の承認を得なければならない」などと定めています。

 きょう、稲田大臣が出したのは、現行の自衛隊法第81条の2。

 ー弾道ミサイル【等】が我が国に飛来する【おそれ】があり、人命又は財産に対する被害を防止する必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、破壊する措置をとるべき旨を明示することができるー

 -防衛大臣は【事態】が急変し総理大臣の承認を得るいとまがないときは、緊急対処要領に従い、あらかじめ、命令をすることができる。この場合において、防衛大臣はその命令に係る措置をとるべき期間を定めるものとするー

 -内閣総理大臣は、速やかに国会に報告しなければならないー

 という趣旨が書き込まれています。これは現行法です。

 きょうの稲田大臣は、緊急対処要領に従い3か月の期間ということのようですが、自民党憲法改正草案は100日。このほか、平和安全法制に出てくる、事態、人命又は財産、おそれという言葉が出てきます。現行法の平和安保法制など、きょうの命令、草案が似ている感じがあることを、読者にも分かってもらえると思います。

 破壊措置命令を出した場合は、これまでも、首都東京の近くの、東京新宿区市谷地区周辺や、東京北部から埼玉県朝霞に向けて、陸自ヘリが超低空飛行することが見受けられました。市谷では鈴木貫太郎内閣の陸軍大臣が、ポツダム宣言受諾で切腹しました。

 憲法の緊急事態条項の審議に向けて、「ほら、大丈夫でしょ」という答弁の準備の可能性があります。

 ブラジルで、「リオ五輪」が開かれており、あまり関心を呼ばないことが予想されます。

 このエントリー記事の本文は以上です。  

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陛下「天皇の終焉においての葬儀の負担は重い」などとし、崩御前の皇位継承を求める

2016年08月08日 15時16分48秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 天皇陛下は、平成28年2016年8月8日(月)午後3時過ぎに放送された「ビデオメッセージ」=画像、NHKからスクリーンショット=で、

 日本国憲法第1条に関する象徴天皇について、「象徴の務めが難しくなるのではないかと案じております」とご自身のご高齢による国事行為の務めに不安を示され、

 「天皇の終焉(The death of the Emperor)において、葬儀が1年以上に及び、残された家族に重い負担になる」と語り、尊命中に天皇の地位を次の世代に継承したい考えをお示しになられました。

 さほど遠くない日の崩御を前に、皇室の継承、遺族への配慮、国家国民の存続に向けて、生前退位が可能となる、特別立法をするようせかす、うめき声のような「平成の玉音放送」となりました。

 ただ、現行憲法及び現行皇室典範、現行皇室経済法の定めはありません。

 仮にご退位を認める場合は、上皇、天皇、皇太弟が乱立することになります。さらに陛下の男のお孫様は、次男の長男。1世代前に、陛下が、生まれるいなや、皇太子及び皇位継承順位一位者となったのとは逆方向の不安定さになります。昭和のはじめのことです。

 さらに大正の終わりまで、遡ると、昭和天皇は男の子とがいないまま、摂政だった時代に関東大震災が起きました。馬で駆け回る若き摂政宮は被災者を励ましましたが、政府紙幣の乱発と整理のてまどり感、国会開会式を妨害するテロ、治安維持法など暗い時代となりました。

 本来はご退位は認められないと考えます。私は強く陛下に自制を求めたい。国事行為はすべて摂政に任すべし。ただ、被災地訪問などの公的行為、新嘗祭のような祭祀(というんですか?)、皇室の昼食会などの負担がどうなのか、というのは、「明仁さん」にしか分からない。もうちょっと、情報公開を宮内庁(厚生省、警察庁、自治省)がやってきていたら、楽だったのでしょうが。

 法的安定性を維持するためのできるだけの一代限りの特別立法は検討せざるをえない状況です。

【追記 同日の午後11時半】

 宮内庁ホームページから引用します。なお、宮内庁は以前から、「、(てん)」を、「,(コンマ)」にするので、改善してほしいところです。

宮内庁ホームページから引用はじめ]

象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(平成28年8月8日)
<英文>へ

戦後70年という大きな節目を過ぎ,2年後には,平成30年を迎えます。
私も80を越え,体力の面などから様々な制約を覚えることもあり,ここ数年,天皇としての自らの歩みを振り返るとともに,この先の自分の在り方や務めにつき,思いを致すようになりました。
本日は,社会の高齢化が進む中,天皇もまた高齢となった場合,どのような在り方が望ましいか,天皇という立場上,現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら,私が個人として,これまでに考えて来たことを話したいと思います。

即位以来,私は国事行為を行うと共に,日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を,日々模索しつつ過ごして来ました。伝統の継承者として,これを守り続ける責任に深く思いを致し,更に日々新たになる日本と世界の中にあって,日本の皇室が,いかに伝統を現代に生かし,いきいきとして社会に内在し,人々の期待に応えていくかを考えつつ,今日に至っています。

そのような中,何年か前のことになりますが,2度の外科手術を受け,加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から,これから先,従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合,どのように身を処していくことが,国にとり,国民にとり,また,私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき,考えるようになりました。既に80を越え,幸いに健康であるとは申せ,次第に進む身体の衰えを考慮する時,これまでのように,全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが,難しくなるのではないかと案じています。

私が天皇の位についてから,ほぼ28年,この間かん私は,我が国における多くの喜びの時,また悲しみの時を,人々と共に過ごして来ました。私はこれまで天皇の務めとして,何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが,同時に事にあたっては,時として人々の傍らに立ち,その声に耳を傾け,思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に,国民統合の象徴としての役割を果たすためには,天皇が国民に,天皇という象徴の立場への理解を求めると共に,天皇もまた,自らのありように深く心し,国民に対する理解を深め,常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において,日本の各地,とりわけ遠隔の地や島々への旅も,私は天皇の象徴的行為として,大切なものと感じて来ました。皇太子の時代も含め,これまで私が皇后と共に行おこなって来たほぼ全国に及ぶ旅は,国内のどこにおいても,その地域を愛し,その共同体を地道に支える市井しせいの人々のあることを私に認識させ,私がこの認識をもって,天皇として大切な,国民を思い,国民のために祈るという務めを,人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは,幸せなことでした。

天皇の高齢化に伴う対処の仕方が,国事行為や,その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには,無理があろうと思われます。また,天皇が未成年であったり,重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には,天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし,この場合も,天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま,生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。
天皇が健康を損ない,深刻な状態に立ち至った場合,これまでにも見られたように,社会が停滞し,国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして,天皇の終焉に当たっては,重い殯もがりの行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き,その後喪儀そうぎに関連する行事が,1年間続きます。その様々な行事と,新時代に関わる諸行事が同時に進行することから,行事に関わる人々,とりわけ残される家族は,非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが,胸に去来することもあります。

始めにも述べましたように,憲法の下もと,天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で,このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ,これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり,相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう,そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく,安定的に続いていくことをひとえに念じ,ここに私の気持ちをお話しいたしました。
国民の理解を得られることを,切に願っています。

[宮内庁ホームページから引用おわり]

【追記おわり】

このエントリー記事の本文は以上です。

宮崎信行。 

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人事院勧告完全実施法案、第192回臨時国会に提出 平成28年度は0・17%引き上げ

2016年08月08日 12時13分40秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

[写真]人事院、東京都千代田区霞が関、きょねん2015年10月、筆者・宮崎信行撮影。

 人事院は、平成28年2016年度の給与を、前年比0・17%、期末勤勉手当を0・1カ月引き上げるべし、とする、人事院勧告を、衆議院、参議院、内閣にしました。

 これを受けて、内閣や衆議院は、

 9月下旬に召集される、第192回臨時国会に、人事院勧告完全実施法案を提出する見通しとなりました。

 成立し、施行すれば、4月にさかのぼって適用されます。

 このエントリー記事の本文は以上です。 

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