(初投稿は午後5時半で6時40分更新)
政府が今国会に新規に提出した13本の法案は、すべて当初会期内に成立する公算となりました。
前国会で閉会中審査→継続審議となった4法案も、3月9日の閣議で決定したものはすべて成立し、3月13日の閣議で決定したものはおそらく今国会では審議未了となり年越しとなる公算。国会はほとんど政府の下請け機関となりつつあります。全人代よりもひどいのでは。白紙委任法案というよりも、ナチスの全権委任法に近いところまで追い込まれつつあります。まあ、来夏の参院選後は景色を大きく変わるでしょうが、特区法や、平和安全法制や、異次元の金融緩和というものは、議席が変わっても、元に戻す、ということはできません。
私も不貞腐れずにがんばります。もはや法案の内容は別。少しでも多く審議未了廃案に追い込むのが民主主義を守る唯一の道。
【参議院法務委員会 平成30年2018年11月29日(木)】
まず、一般質疑をして、立憲の有田芳生さんが「ヘイトスピーチについて」質疑。
その後に、「出入国管理法及び法務省設置法改正案」(197閣法)の趣旨説明があり、審議入りしました。
そして、対政府質疑。私としても、定例日の木曜日の午前10時に始まった参議院委員会が、8時間コース午後7時までの予定で立てられたのは、過去に無いような気がします。きょうの衆本は法相関連の議案もありませんでした。仮に、後ろに回った与党の対政府質疑で、質問時間をフル活用した場合は、午後7時まで審議が続く見通しでしたが、やはり与党が時間を多少放棄して、6時半前に終わりました。
【衆議院憲法審査会 同日】
定例日の木曜日、ついに今国会初めて開催されました。
野党の欠席で開会は遅れましたが、幹事(理事)の選任をして、それだけで散会しました。これ、今国会の雰囲気だと、延長すれば、両院での改憲発議まで行きそうな空気を感じます。
【衆議院本会議 同日】
「漁業法改正案」(197閣法8号)と「日欧EPA承認案」(197条約1号)など3議案がかなりあっさり通過しました。両方とも、日本農業新聞は審議時間の短さをグラフ付きで連日指摘しています。
まず、「漁業法改正案」(197閣法8号)については、各党が討論。無所属の会の金子恵美さんは「反対する理由の第一は、現場の漁業者の理解がまったくないこと。政府は説明会を開いて理解を得たと豪語しているが、全く情報が届いていない」とし「委員会審議としても、地方公聴会も視察もしなかった」と批判しました。私の昨日のブログ記事でやや理解不足の面がありましたが、管区漁業調整委員会の公選制で、漁業者代表の選挙を廃止する改正条項も入っているそうで、「漁業の民主化が、戦前にまで逆戻りする」と激しい批判がありました。「民間企業の無秩序な進出が予想される」「知事が恣意的な判断が入り込む」とかなり批判が出ました。採決では、自民・公明・維新が賛成し、立憲・国民・無所属の会・共産が反対。今国会では珍しく「ハンタ~~イ!」の野次がかなり強かった。賛成多数で衆議院を通過しました。
次に、「日欧EPA承認案」(197条約1号)と「日欧戦略的パートナーシップ協定承認案」(197条約2号)。こちらも討論で、野党が強く反対しました。採決では、197条約1号は、立憲などの反対、自公などの賛成多数で、197条約2号は、自公立などの賛成多数で承認され、参議院に送られました。
【参議院厚生労働委員会 同日】
「水道法改正案」(196閣法48号、今国会では参先議)の参考人質疑があり、水ジャーナリストの橋本淳司さんらが意見を述べました。
この後、野党だけが対政府質疑をして、散会しました。
【参議院内閣委員会 同日】
先の国会で成立しなかった「サイバーセキュリティー基本法改正案」(196閣法45号)が桜田義孝五輪相から趣旨説明され、きょうは散会しました。ことしの3月9日までに閣議決定した法案はすべて参議院の委員会の審議入りまでこぎつけたことになります。
今後は、3月13日に閣議決定した「成年被後見人の管理の制限の適正化のための一括改正法案」(196閣法56号)「国家戦略特区法改正案」(196閣法57号)がありますが、当初会期内の成立はありません。とくに、196閣法57号につながる連続的な法制が、2001年以降の日本(東京・丸の内除く)を悪くしてきたという意識が私には強いので、196閣法57号だけは絶対に審議未了廃案(閉会中審査)に持ち込んでいただきたい。
【衆議院安全保障委員会 同日】
一般質疑がありました。国民の渡辺周元防衛副大臣は「護衛艦いづもを改修して、F35Bを搭載するという構想がある。なぜ、改修するのか」とし、ヘリ空母いづもを改修して、回転翼のみならず固定翼の戦闘機F35Bも空母いづもから発着できるようにすることについて質問しました。岩屋毅防衛大臣は「今でも多用途艦ですが、他の用途に使えないか検討している」「F35Bという短い距離で離発着できる戦闘機の調達につてご意見を聞いて最終的に判断したい」と語り、来月の防衛計画の大綱に空母化を盛り込み、中期防で、F35Bを大幅に調達することについて、否定しませんでした。岩屋さんは「攻撃型空母の定義は無い」として12月中旬以降に高まるであろう批判に予防線を張りました。一般質疑だけで散会。
【参議院外交防衛委員会 同日】
「日中社会保障協定の承認案」(197条約3号)が全会一致で承認すべし、と決まりました。
【参議院農林水産委員会 同日】
「GI特定農林水産物の名称保護法を改正する日欧EPA国内実施法案」(197閣法9号)が全会一致で可決しました。
【参議院国土交通委員会 同日】
「洋上風力発電利用促進法案」(197閣法5号)が全会一致で可決しました。
【参議院文教科学委員会 同日】
「原子力損害賠償法改正案」(197閣法2号)についての参考人質疑があり、散会しました。
【衆議院総務委員会 同日】
「平成26年度NHK決算承認案」と「平成27年度NHK決算承認案」が議題となりました。国会には既に「平成28年度」も提出されています。採決の結果、「平成26年度」「平成27年度」とも、立憲・国民・共産・社民の反対、自民・公明・維新・希望の賛成多数で承認すべきだと決まりました。
【衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会 同日】
一般質疑があり、平井卓也科技相が答弁しました。政府参考人は各府省庁横断で幅広く呼ばれました。2010年に当時野党・公明党の発案で設けられたこの委員会ですが、何か成果はあったのでしょうか。だからといって、余計な議員立法をされてもややこしいのですが。平井大臣は、初入閣で唯一の世襲議員で、昨年の総選挙の領収書についてのスキャンダル(但し合法であり問題は無い)が出ました。お金の出入りは多いはずですが、それ以上は無い、ということのようです。
【衆議院原子力問題調査特別委員会 同日】
一般質疑がありました。この委員会には、「アドバイサリーボード」として7人の有識者が、いわば常設の参考人という感じで委嘱しています。これは、東電福島原発事故での、国会事故調査特別委員会の黒川教授らの流れで、現在も置かれています。これについて、存続することが全会一致で決まりました。また、実質的な会期末といえる来週12月7日(金)にアドバイザリーボード7人のうちから、参考人として意見を聞くことが全会一致で決まりました。参議院でのたたかいは続きますが、衆議院側はひと山越えて、店じまいモード、という見立てもできると思います。
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