【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【5/21】「改正少年法」で与党解散可能に「わいせつ教員」全会一致、週明け月曜日の決算委員会で薬剤師会の厚生労働省質問通告

2021年05月21日 18時07分39秒 | 第204通常国会令和3年2021年
 第204回通常国会は残り18営業日となりました。このままだと「閣法成立率96・8%」の全人代状態となります。中国のようにウイルスを封じ込めず、中国のように国内外にワクチンを供給できないけれども、自由で民主主義の日本ですが、閣法成立率96・8%で良いのでしょうか。漏れ伝わるところでは、安住淳国対委員長になにか秘策があるようだ、との観測もあります。

【参議院本会議 令和3年2021年5月21日(金)】

 「改正医療法」(204閣法17号)が立共反対、自公国維賛成多数で可決し成立しました。医師のブラック労働抑制条項。そして地域医療構想プログラムを進めて、コロナ病床を増やすなどの計画の策定が義務付けられます。

 「改正少年法」(204閣法35号)が立共維反対、自公国賛成多数で可決し成立しました。施行日は来年令和4年4月1日(金)。成年18歳にともない18歳・19歳を「特定少年」に。5年後見直し規定つき。経緯としては、18・19歳に国民投票法の投票権→改正公選法→民法ときたので、改正少年法で整備が終わったととらえられます。

 「改正長期優良住宅普及促進法」(204閣法25号)が全会一致で可決し、成立しました

 内閣委員長が登壇し、「改正子ども子育て支援法」(204閣法14号)の審査結果を報告して、採決。立共維国反対、自公賛成多数で可決し成立しました。厚生労働省所管の「児童手当法」の改正条項も束ねてあり、年収1200万円以上の家庭は、これまでの高校修学支援金だけでなく、その前段階での児童手当も受け取れないことになります。所得税はまったく減税されません。アベノミクスの日銀金融緩和・地方創生特区法・解釈改憲・労働者派遣法・特許法・不競法などによる上位中間層崩壊の流れが止まらず、ツイッターデモもできず、次の選挙で争点にしても、大勢は変わらず。アベノミクスとグローバルマネー金融緩和で日本の選挙による民主主義が根こそぎなぎ倒されて機能しない静かな革命がなされました。

 本会議は採決に先立ち、「特商法及び預託法改正案」(204閣法54号衆修正)について、井上信治・消費者相が趣旨説明し、代表質問をしました。衆修正が入った、高齢者へのクーリングオフの書面交付の電子化について、野党から廃案出し直しの要望が出ましたが、消費者相は断りました。

【衆議院文部科学委員会 同日】

 政府が見送ったものが、超党派の議員立法で実現しました。「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止に関する法律案」(204衆法 号)が起草され、全会一致で委員長が提出することを決定しました。

【衆議院環境委員会 同日】

 海洋マイクロプラスチックを防ぐ廃プラ規制の法律案が全会一致で決まりました。委員会はまず「プラスチックにかかる資源循環の促進等に関する法律案」(204閣法61号)と立憲民主党の金子恵美さんらが提出した対案「廃棄物削減推進法案」(204衆法17号)を審議。政府の「資源循環法案」だけを採決し、全会一致で可決すべきだと決まりました。

 とはいえ、前世期後半は金属加工をプラスチック加工が追い上げていた時期もありますが、アイフォーンの大部分が金属でできているなど、両者の戦いは金属の勝利に終わりました。日本のプラスチック製品の業界規模は最盛期よりも年5兆円、GDP1%分落ちました。その中で環境省・経産省が「資源循環」を打ち出すということですが、金子さんらの「廃棄物削減」で、マイクロプラが絶対海洋に出ないのをめざすのが、自由主義経済ではないでしょうか。

 私は3年前の年末に、家業である金属加工機販売を廃業する決断をしました。世界トップの板金加工機メーカー「アマダ」の独占販売権を持っていました。

 廃業前年に、アマダ本社を訪れた際には、2011年1月の天皇陛下(徳仁さま)行幸のプレートがありました。



 金属加工界のプリンスだった私の背にあるアマダの赤い鍛圧加工機と、左に黄色い「送ゆめり装置」。これはオリイという会社がつくっており、オリイから弊社に転職した正社員の方もいました。これは業界内ではすごいですね、という先代の栄光です。で、この黄色い送り装置のメーカーは、アマダが全額出資して100%子会社化しましたので、きょう現在に製造ラインを組もうとすると、この黄色い部分は、赤く染まったものが納品される、と思います。こういう金属加工のたゆまぬ努力により古色蒼然と錆び付いたイメージだった金属加工は見事に復活し、軽くて、丈夫で、アイフォーンを落としてもヒビすら入りません。みんなが夢見た21世紀の現実は、なんとプラスチックでなく金属だった。びっくり仰天です。私が今こういうことを書いて「そういえばそうだ」と驚いている人も多いと思いますが、アマダはコロナ禍の今月からメールマガジンを開始し、「だれもが即戦力になれる」という理想の労働経済づくりのお手伝いをしています。経産省の締め付けがないところにこそ、日本の未来はあります。プラ削減も、ペーパレスもほどほどにし、「だれもが即戦力になれる」経済づくりが求められます。

【衆議院内閣委員会 同日】
 「重要施設周辺及び国境離島における土地等の利用状況の調査及び利用の規制に関する法律案」(204閣法62号)を審議し、安全保障委員もかけつけて問題点を指摘しました。修正協議の公算。

【衆議院国土交通委員会 同日】
 「海上交通安全法改正案」(204閣法49号参先議の与野党質疑をしました。そして、理事会。採決できると判断して再開。全会一致で可決すべきだと決まりました。次の衆議院本会議で可決し、成立。施行は公布から2か月以内の政令で定める日ですので、今夏の海の安全で海上保安庁が引き続き活躍します。

【衆議院安全保障委員会 同日】
 一般質疑。中山泰秀防衛副大臣が、イスラエルとパレスチナについて、米英政府の見解と日本政府の見解が相違する数少ない領域で、米英政府側の立場をツイートし、昨日削除したことも問われました。一部の委員は内閣委に質問に出かけました。

【衆議院厚生労働委員会 同日】
 一般質疑の後、「育児・介護休業法及び雇用保険法改正案」(204閣法42号参先議の提案理由説明がありました。来週質疑。

【衆議院議院運営委員会 同日】
【参議院議院運営委員会 同日】

 沖縄県の追加など、緊急事態宣言とまん延防止措置の区域と期間の変更について、西村大臣が事前報告し、各会派が問いました。

●来週の予定

 月曜日(5/24)午後1時からの参議院決算委員会は、裁判所、法務省、そして厚生労働省となりました。5時間コースの質疑では、薬剤師会組織内の藤井基之さん、今井絵理子さんらが登場し、与野党ともワクチンに関する質問が出そうです。労働系の話もでます。衆議院は月曜日はありません。衆議院は正直終局モードです。

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