【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【5/26まとめ】6月9日(水)頃にも党首討論を開いて野党は菅内閣の信任見極めへ、土地規制法案は立法事実を問われ、特商法は電子書面

2021年05月26日 18時37分43秒 | 第204通常国会令和3年2021年
[写真]枝野幸男・立憲民主党代表、ことし1月4日、衆議院本館内で、宮崎信行撮影。

 安住淳さん、穀田恵二さんらが、野党国対委員長会談を開き、党首討論を、6月9日(水)を軸に開くよう、与党国対に要求することで一致。枝野幸男代表や志位和夫委員長に対する菅義偉首相(自民党総裁)の五輪開催・コロナ収束の姿勢を見て、内閣が信任できるかどうか見極める匕首を突き付けました。

 枝野さんは官房長官として、2011年の6月1日に党首討論に臨席し、その夕方、自分がいる内閣の不信任決議案を突き付けられました。3月11日に東日本大震災・原発事故が起きてから100日足らず、人心が乱れているうちに不信任案を突き付けるなりふり構わぬ自公の暴挙だと私は思いましたが、翌年に、自公は政権復帰し現在にいたるので、あのやり方でよかったのでしょう。

【参議院本会議 きょう令和3年2021年5月26日(水)】
 
 「改正著作権法」(204閣法57号)が全会一致で可決し、成立しました

 「改正地球温暖化対策推進法」(204閣法47号)が全会一致で可決し、成立しました

 これに先立ち、「産業競争力強化法改正案」(204閣法23号)について、梶山経産相が条文ミスを詫びたうえで、趣旨説明をし、代表質問に答えました。

【衆議院内閣委員会 同日】

 「重要施設や国境離島の土地規制法案」(204閣法62号)の対政府質疑がありました。与野党とも、そもそも安全保障上の立法事実がないのではないかとの論争になっています。防衛省は現在も、公開された土地登記簿での情報収集はしていると答弁。土地収用の規定についても質問がありました。

 公明党の濱村進さんは自ら、公明党内、与党内での事前審査の混乱について自民党と野党の委員に明かすとしました。公明党の部会での異論を出したのは1人で、それは自分だったとし、与党内審査の長期化は公明党が項目ごとに自民党の見解をただしたからだと説明しました。公明党3期生は、前回解散直後に組織内不倫が暴露され切られたほか、比例単独でも落選者が出ていますが、連続当選している3期生は、1990年1993年当選組がだいぶくたびれてきたので、次期衆院選後には主要政党では異例の20歳近い世代交代が一気になされるかもしれません。

 内閣委員会は今後、参議院から全会一致で4月16日(金)に回ってきた「銃刀法改正案」(204閣法37号参先議)を審議する必要があります。このため、「LGBT差別解消法案」(未提出)の審議は会期内に間に合わない公算が濃厚です。

【参議院地方創生・消費者問題特別委員会 同日】

 「特商法及び預託法改正案」(204閣法54号衆修正)が委員会審議入りし、井上消費者相に続き、衆議院修正部分は、引退するジョイフル社長の穴見陽一・自民党衆議院議員が説明しました。この後、参考人として経団連幹部らが意見陳述。議員からの質問は交付書面の電子化が集中し、経団連が要望していたことが明らかになりました。国民民主党議員が経団連幹部に対して「ご指導お願いします」とおもねる場面もありました。

【参議院憲法審査会 同日】

 水曜日が定例日であり、きょうを入れて今国会で4回開ける計算です。

 「国民投票法改正案」(196衆法42号衆修正)について、趣旨説明と答弁を、中谷元、山花郁夫、船田元衆議院議員らがしました。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 「北朝鮮特定船舶の入港禁止措置承認案」(204承認2号)が趣旨説明。ただちに採決され、全会一致で承認すべきだと決まりました。本会議上程へ。

 次回は未定。今国会の国土交通省ですが、当たり前ですが経済官庁だという気がしました。国土保全・水資源局への与野党の信頼は磐石といったところ。二島貨物会社への支援を決めた鉄道局ですが、鉄道全体のお金の流れについての抜本見直しが、2020年代の大きな政治課題になるのではないでしょうか。

【衆議院経済産業委員会 同日】

 「北朝鮮経済制裁のための輸出入規制措置の承認案」(204承認3号)が趣旨説明されました。採決などは次回に持ち越しました。

【衆議院文部科学委員会 同日】

 一般質疑があり、萩生田光一文部科学大臣、丸川珠代・内閣官房東京オリパラ推進室担当大臣の2人への質疑がありました。五輪相は、参では内閣委ですが、衆では文科委で、文科相、五輪相が並んでの一般質疑を受ける衆参の整理になっています。

 私見では、オリンピックを中止したら、コロナが収束するとはとうてい思えないのですが、国民世論が極めて流動的になっています。電通が倒産したらいいとは思うけどね。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 「育児・介護休業法や雇用保険法など改正案」(204閣法42号参先議の対政府質疑が始まりましたが、あまり法案の中身には踏み込みませんでした。4年前突然立党した立憲民主党ですが、そのあおりで、1期生議員には玉石混交になっている面もあり、衆院選での同党の前職再選戦術は幹部の政治判断も求められるかもしれません。優秀な人もいるなか、コロナ禍で、「私はラブホテルというものには行ったことが無い。受け付けが無人であまり人流は無いようだが」とアピールしながら、持続化や休業の給付金などを給付しないよう独自の見解で政府に迫った議員もいましたが、自民党の政務三役や政府参考人の大人の対応が続いています。

 次回は金曜日9時半。

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参議院改革協議会発足し第1回で世耕弘成座長に、来年2022年7月10日ないし24日に投票の第26回参院選での抜本改正は間に合わず世界一複雑な選挙制度による有権者分断継続へ

2021年05月26日 17時58分31秒 | 第26回参院選(2022年7月)
[写真]世耕弘成さん、先月2021年4月、宮崎信行撮影。

 先日の本会議で報告された「参議院改革協議会」の第1回会合が、きょう令和3年2021年5月26日(水)開かれ、世耕弘成・参議院自民党幹事長が座長につきました。

 世耕さん本人がツイートしました。

 立ち上がりが遅れたため、来年7月10日(日)や24日(日)などに投開票されると予想される、第26回参院選での抜本改革がなされないことは確実。改正公選法は周知期間が長くとる必要があります。

 また参議院自民党が自民党本部に押し込んだ「憲法改正4項目の論点の一つ、参議院合区の見直し」について、永田町内外の世論にまったく関心を持たれない冷めた世論が浮き彫りになっています。

 コロナと五輪を問われる菅義偉首相として初めて自公が信を問う、第49回衆院選が必ず先に開かれるため、第26回参院選は流動的になることが予想されます。また、国会法が定める参院選の実施期間をめぐって、2022年通常国会の会期末対応で与党の衆参の意見が割れることもあり、合法的な複雑さで有権者が分断される構図は続きそうですが、代議制民主正義は維持できる見通し。




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[法律の執行状況]2018年秋の臨時国会最大の対決法案「入管法及び技能実習生法2018年改正法」で特定技能6倍に、コロナ禍での日本滞在延長につながった好事例もありそう

2021年05月26日 07時30分00秒 | 法律の執行状況
[画像]2018年秋の第197回臨時国会で、入管難民法改正案の審議をする参議院法務委員会の開催を強行する、公明党の委員長と理事、当時2018年12月8日付当ニュースサイト内記事から。

 3年前、2018年秋の臨時国会の最大の対決法案となった「入管法改正案」は、紳士協定「定例日」以外に開催されたうえ翌年の補充質疑を内諾して修正成立するという異例の展開となり、外国人技能実習生法改正規定と出入国税龍管理庁設置規定を含めて2019年に施行されました。2018年改正法は、2018年秋の衆議院法務委員会での猛抵抗の最後の最後に、野党の山尾志桜里(山尾しおり)理事らが政府原案の「施行3年後見直し規定」を「2」に修正させました。

 朝日新聞のけさの報道によると、出入国在留管理庁はきのう(令和3年2021年5月26日)、2019年改正法でできた「特定技能」で日本に滞在する外国籍の人がことし3月末で、22567人となり、1年前の3987人より大幅に増えたとの数字を発表しました。コロナ禍で特定技能やあるいは技能実習で日本に来ることが困難になることが多い中、もともと日本に滞在していた技能実習生が特定技能に移行して、長く滞在できるようになった背景がありそうです。

 賃金水準の確認などが必要ですが、もともと技能実習後の長期滞在を希望していたり、コロナ禍で出入国のハードルが上がったりしていた人の中では、2019年改正法に救われた人も少なからずいそうです。

 衆議院で廃案が決まった2021年改正法案では、不法入国・滞在者の収容施設をめぐる待遇をめぐって、日本語学校学費が払えず同居した異性にドメスティックバイオレンスを受けていたスリランカ人女性ウィシュマさんの、やせ細った腕での逝去をきっかけに、与野党や「国会前シットイン」が問題点を浮き彫りにして、今国会で審議しないことが内定しており、解散が近いことから廃案が確定しています。

 山尾修正ともいえる「施行後2年後見直し規定」にもとづき、技能実習や、特定技能による滞在者との共生をチェックしながら、新しい改正法案づくりに取り組む良い機会となるかもしれません。

 以下は、2018年秋の臨時国会に関する当ニュースサイト内の過去記事をいくつか貼り付けて、この記事は終わります。

[当ニュースサイト内の過去の記事から抜粋引用はじめ]



(初投稿は19時前で、22時に加筆、再投稿)

[画像]門山宏哲・法務大臣政務官(自民、千葉1区)、衆議院インターネット審議中継から筆者がスクリーンショット。

 今国会最大の対決法案だった「入国管理法改正案」が午後10時前に、衆議院を通過しました。とはいえ、漁業法改正案が衆議院で、水道法改正案が参議院で審議中。第1次小泉内閣発足以降でも史上最大の「規制緩和国会」となりました。ゆるゆるです。「法律」の概念が、市民の権利の保護から、企業の既得権益の保護へと変わりそうです。

【衆議院本会議 第2ラウンド 平成30年2018年11月27日(火)】

 第2ラウンドは20時30分から21時50分頃まで。

 外国人材の受け入れを特定技能1号・2号として拡大する、「出入国管理法及び法務省設置法改正案」(197閣法1号)が採決され、「修正議決」可決し、参議院に送られました。来年4月1日の「出入国在留管理庁」の設置も盛り込まれた法案。

 記名投票採決され、投票総数453、賛成317、反対136で可決しました。自民、公明、維新が賛成し、立憲、国民、無所属の会、共産、自由、社民、未来日本(長島昭久代表と笠浩史さん)が反対しました。

 ◇

 これに先立つ第2ラウンドは13時15分頃から16時10分頃まで。
 「山下貴司法相不信任決議案」が投票総数440、賛成131、反対309で否決されました。

 この後、国会同意人事があり、「検査官に岡村肇・会計検査院事務総長を充てる人事の同意に関する件」などが採決され、「同意を付える」と決まりました。会計検査院、個人情報保護審査会、地方財政審議会、公安審査委員会、中央労働委員会公益委員などの人事が決まりました。ひな壇には、根本匠・厚労相らが登壇しました。

 続いて、桜田義孝五輪相が登壇して、「サイバーセキュリティー基本法改正案」(196閣法45号)を採決し、共由反対、自公立国など賛成多数で可決し、参議院に送られました。

【衆議院法務委員会 同日】

「出入国管理法改正案」(197閣法1号)が、野党が理事会で同意しない採決、いわゆる強行採決され、自公維が提出した修正案が可決しました。

 対政府質疑は、法相不信任決議案提出のため、休憩。再開では、石破派3期生で大臣とコンビを組む、門山宏哲・政務官が遅れました。これに対して、政務官は、さっさと謝ればいいものを、「参議院農林水産委員会散会後に森裕子さんに話しかけられ10秒ほど話した」などと不貞腐れて、3回やり直しました。

 午前中の質疑で、葉梨康弘委員長は野党からの質問に答弁し、(1)連合審査会をやらなかったのは各省の副大臣を呼んだから(2)総理入り質疑をやらなかったのは昨日の予算委で法務委員の人が質問したから(3)視察をやらなかったのは実習生の法案のときにJITCOなどを訪問したからーーと平然と発言。国民民主党の階猛さんは「私は予算委に立っていない」と反論しました。無所属の会の法務委員の黒岩宇洋さんは上述の本会議の中で「10日間の間に法務省が答弁で他省と調整した形跡がない。この弱腰で、成立後の施行で他省と渡り合えない」と指摘しました。その本会議散会後の、委員会再開時には、門山政務官が参から遅れて帰ってくる連絡もとれていなかったことになります。

 公明党は2015年安保法制と同じく、遠山清彦さんが質問し、浜地雅一さんが附帯決議を読むという、強行採決コンビが登場。遠山さんは2012年の国会では法務委員を辞任して社会保障と税の一体改革特別委員になっており、強行採決のときだけ法務委に戻る印象です。また、再開時には、この方は常勤の国家公務員だと思うので書きますが、委員会強行採決時にマイクをとられた委員長の唇を見ている記録部員が配置されており、強行採決まじかかと思いましたが、門山さんの遅参でタッチの差で30分交代時間が来て委員室から去っていきました。このように、いろいろマンネリな怠惰な国会はこびとなっていますが、来年7月にはいずれにせよ、衆参ねじれが生じますので、今だけ、という感じです。




[画像]参議院法務委員会を強行的に開会する、横山信一委員長や、三浦信祐参議院議員(元防衛大学准教授)、2018年12月8日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【参議院法務委員会 平成30年2018年12月8日(土)】

 定刻の午前0時10分。

 立憲民主党、日本共産党などが審議不足を理由に開会に反対。

 公明党の横山信一委員長を、三浦信祐公明党参議院議員(元防衛大学准教授)が支えるかっこうで、開会を強行しました。

 この委員長ポストは、53年間という驚くべき長期間にわたって、公明党がとっています。

 「入国管理法及び法務省設置法改正案」(197閣法1号衆修正)が議題になりました。

 質疑終局を宣言。

 討論で、国民民主党・新緑風会の桜井充さんが委員長の指名に従いました。とても残念です。

[当ニュースサイト内の過去の記事から抜粋引用終わり]

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