【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【5年後見直し規定】農協法再改正案はいよいよ本丸「准組合員・JAバンク」に規制改革推進会議、「一般社団法人JA全中」に擁護の声なく、立憲東日本農林族も「私たちは時代遅れかもしれない」

2021年05月05日 17時15分32秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]「一般社団法人JA全中」ビル(左から2つめ)の前に立つ筆者・宮崎信行。きょねん5月。歩くだけならタダですが、9割の人が地下鉄直結の構内1階・地下1階を歩くので、路上にいるのは私だけ。

 自民党の斎藤健・小泉進次郎農林部会長のとりまとめが法制化された「農協法」の抜本改正法である「平成二八年六月三日法律第六二号 」の附則20条の「政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律(以下この条において「改正後の各法律」という。)の施行の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、改正後の各法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」のプログラム発動まで、1か月となりました。

 JA全中は2年前から「一般社団法人JA全中」となりました。そして主食用米の需給は、これ以上下がりようがあるのかという段階でもさらに減少し、日本全体の栄養減少の流れがとまりません。

 もちろん、JAグループが経営するATMコーナーはコロナ禍でも必要不可欠なインフラといえるでしょう。

 小泉さんが人気が落ちながらも首相が代わっても引き続き現職閣僚でいるように、5年前のJA改革に対して、大きな反論は聞こえません。

 立憲民主党で東日本の選挙区で連続して当選している議員がJAの支援を受けていることは、有名な話。

 立憲民主党東日本農林族の代表的存在である、徳永エリさんは先月6日の参議院環境委員会で次のように語りました。「大臣は自民党の農林水産部会長もされておられましたけれども、農業、農村をとても大事に思っておられたと思います。こういった、まあ時代の流れという部分もあるかもしれませんけれども、農地を転用して再エネに利用していくと、この流れに関してはどのようにお考えになりますでしょうか、お伺いいたします。 」と。

 農業委員会に関する質問ですが、5年前の小泉さんの農協改革が「時代の流れ」に沿っていたとして、負けを認めた発言だと思います。

 さて、5年後見直し規定の議論は、菅義偉内閣が続く限りは、規制改革推進会議農林水産ワーキンググループで行われます。フォローアップの質問に農林水産省が回答するというかたちで、進みます。なお、菅内閣では「未来投資会議」は完全廃止されましたので、金丸恭文さんが最大の権力者として話は進んでいきます。

 そして、議題ですが、本丸中の本丸である、准組合員と信用・共済事業すなわちJAバンクがターゲットになります。

 もちろん、准組が廃止されたり、農林中金が廃止されたりするということにはならないでしょう。しかし、専業農家が補助金やグループ融資で手足を縛られているならば、工場で働いて現金で月給15万円もらって月1階県庁所在地で一晩2万円飲む生活の方がいいだろうという考えは明治維新以来の流れからして当然です。おてんとうさん以外の者に縛られて自己所有農地で農業をするなど懲役、徴兵なみの苦行です。JAの葬式なら一度お金を払うだけですが、共済・信用のように、毎月元利返済や保険料引き落としをし続けるという法人資本主義のしくみが、個人経営の農家のしくみとあわないことは、JA発足以来の課題であったわけで、容積率緩和による小泉都市再生特区に本部ビルを置くJA全中が、小泉亜流政権に足を向けられないのは当然。時代の流れのなか、たいして話題にならないなかで、JA解体は進みそうです。

 農協法改正案が提出される場合は、2022年以降となりそうです。

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【第49回衆院選】軍資金は自民100億円、立憲64億円、公明30億円、国民25億円か、福山幹事長特筆すべき「女房役」

2021年05月05日 16時35分47秒 | 立憲構成員である読者を想定した2021-22選挙・組織情報
[写真]福山幹事長、きょねんの立憲民主党結党直後、宮崎信行撮影。

 枝野さんのすごいところは、米櫃・糠床の管理を、福山幹事長に任せきりのところです。「女房役」というとポリティカル・コレクトでないのかもしれませんが、2017年10月に枝野名義で5億円借り入れておいて、側近の議員・記者・秘書がいないとされる枝野さんが、福山幹事長に任せきりにできるほど「官邸の5階や地下1階で共有した2人の秘密体験」とはなんだったのか。

 半年以内に絶対ある第49回衆院選では、各党の軍資金はかなり平等なたたかいとなりそうです。

 自民党は下野時に石原幹事長・山本有二経理局長名義で多額の銀行借り入れをし、政権交代後は論功行賞で再入閣しましたが、8年経ち、山本さんは県連内で知事の国政転出派に切られかかっています。それはさておき、政党交付金をかなり繰り越す傾向にあり、軍資金は100億円程度となりそうです。河合夫妻に1・5億円を突っ込み、竹下亘会長が「私でも0・15億円だ」と不満を漏らしながらも、臨時両院議員懇談会や拡大総務会を開かない自民党らしさで一候補あたりの選挙にあたっての交付金も0・15億円にとどまると思われます。党本部が電通にCMをパケット(作製費・広告枠の一括)で発注すると、80億円ほどになりますので、これをやるかどうか東京オリンピックの成否と含めて、日本の祝阿を占うことになりそうです。

 きょねん9月15日に発足した立憲民主党は、選挙関係費を64億円だと1月31日の党大会で報告しました。党本部職員の人数が一年で倍増したため、これとは別に人件費年11億円。大変失礼ながら党本部職員が総選挙の各小選挙区を動かすことはできないと思いますが、組織づくりの第一歩となりそうです。

 党本部職員が多い公明党は30億円になりそうです。「そうはイカンざき」という小選挙区比例代表並立時代の「党首力」をアピールするテレビCMを流した時期もありますが、次の選挙もとうていテレビCMを流す資金力はありません。候補者一人当たりでは他党に及ばず、小選挙区辺りでは他党に勝る軍資金。山口那津男代表・石井啓一幹事長の「出身地と選挙区が東京・茨城でたすき掛けコンビ」が都議選の含めてどのように配分するかの判断次第でしょうか。ちなみに、以前から、創価学会が公明党に現金で寄付することはありません。

 国民民主党は先月2日の党大会で、選挙対策費は25億円だと報告しました。候補者1人当たりでは、立憲より多いけれども、立憲に比べると3分の1にしかなりません。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は先月2日の党大会後の記者会見で、筆者の質問に対して「国民民主党は「現職全員当選とくに2期生」当選」が目標だとしました。一方枝野代表は先月28日の定例記者会見で「いずれのみなさんにも人生をかけて選挙に立っていただくので、全員当選をめざす以外に言ってはならない」と向こうを張りました。例えば、山形2区では国民新人が自民現職と拮抗しているとの情勢調査もありますが、玉木さんは現職全員当選と語りました。

 前回衆院選では、枝野さんと同期で議員会館も同階の玄葉光一郎・希望の党選対委員長が「候補者の生活がかかっている」と発言したところ、インフルエンサーの「私たち有権者の生活もかかっているんだよ」とのツイートがバズる出来事がありました。しかし、三宅雪子元代議士のいたましい選択を見るまでもなく、候補者の生活を考えないと、憲法に定められた投票の自由すら守れません。
 
 大阪市をめぐる住民投票に敗れた維新ですが、全国維新では候補者擁立が進んでいます。大阪組というよりも、石井参議院議員の政策担当秘書である藤川さんを中心とした戦略・戦術次第となりそうですが、これから公募に応じても1人当たりの軍資金が供託金を上回るか微妙かもしれません。

 れいわ新撰組はコロナ禍で街頭演説会が開けなくなり、党首の人気による寄付金が激減。都知事選に立候補せざるをえなくなったのはこのためだとされています。党本部移転も余儀なくされました。こちらもブレーンの斎藤まさしさん次第で議席ゼロにもなるし、各ブロック1ずつとれるかもしれません。

 日本共産党は政党交付金使途報告書を提出していないので霧の中です。
 
 第49回衆院選は、4年前の悪夢とは異なり、ある程度、政策主体の選挙となりそうです。候補者本人の生活や軍資金が大きく非対称な状況は避けられそうです。但し、国民民主党に行ったことを後悔している地方議員は、今からでも立憲民主党に移籍した方がいいでしょう。

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