[写真]岡田克也さん、2015年1月22日、民主党本部内、筆者(宮崎信行)撮影。
岡田克也さんは2015年1月22日の定例記者会見で質問に答え、第189通常国会(来週召集)中に予想される、永年在職議員表彰(25年)を辞退することを明らかにしました。1990年初当選の山口俊一大臣、中谷元大臣、細田博之さん、赤松広隆さん、高木義明さん、大畠章宏さんら大量13名が有資格者となっていました。
岡田さんは、「地元の後援会の幹部に一応ご相談したら、「あんたならやめると思っとったわ」と、そういう反応でした。ホッとしました」と語りました。
私はてっきり受けるものと思い、昨年来、岡田事務所に当日は取材したいとして、親族から一眼レフカメラも借りようと考えて楽しみにしておりました。また、昨年8月の民主党幹事長記者会見で、大畠さんに対して「(きょう時点で)山口俊一さん1人だけ大臣になっていない。来年の表彰前の内閣改造はこれが最後だと思う」と問い、大畠さんに「山口さんもそういう候補に上がっておられるのかなと思いますが、人情的には今ご指摘のような形になればいいのではないかと思います」と答えてもらいました。永年在職表彰を受ける13名全員が閣僚経験者になりたい、ということで現実に昨年9月に山口さんは大臣になったわけです。こうやって準備してきたので、驚きました。
岡田さんの心持ちは、分かりません。
ただ、歳費法の平成14年改正で、「二十五年以上在職し、表彰の議決があった者が月額三十万円を受ける永年在職表彰議員特別交通費の制度を廃止」していました。「五十年以上在職し、表彰の議決があった者に年額五百万円の功労年金を支給することを規定した憲政功労年金法を廃止」しました。
ちなみに、在職50年の特別表彰を最初に受けたのは尾崎行雄さん(当選25回、在職63年)です。尾崎さんの選挙区は三重県でした。岡田さんは4年前の、与党幹事長時代の正月の総理伊勢参拝のあと、尾崎行雄さんの記念館を高橋千秋参議院議員(当時)とともに訪れ、2時間見て回りました(岡田さんブログ)。岡田さんはそのときまで、あまり尾崎さんが三重選出だったという意識はなかったようです。この伊勢神宮を含む選挙区は小選挙区になってから、民主党が与党期も含めてただの一度も自民党が奪えていない選挙区。伊勢神宮の選挙区をおさえられないのですから、政権交代して、与党になってもうまくいかないはずです。この「年500万円の功労年金」というのは遺族年金はさすがになかったろうと思いますが、これが廃止されたのも歳費法の平成14年改正だったようです。
岡田さんは「昔のように何か特典が付いているわけではないのです。年金が付いているとか交通費が付いているとか、そういうことはもうありません」と辞退の理由を説明しました。
この歳費法平成14年改正が、2年後の議員年金法廃止につながっているようです。岡田さんはこのとき既に在職10年以上で有資格者でしたが、将来議員年金を受け取る権利を放棄して、保険料積立金を返してもらっています。あまり、永田町に足跡を残したくないのでしょう。
例えば、小沢一郎さんは、永年在職表彰時の特典だった肖像画の作成を拒んでいます。その後、数年前に小沢塾生徒による肖像画を掲示しています。
[画像]永年在職表彰者の権利だった肖像画の掲示(小沢一郎さん)、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショットしてトリミング。
個人的には、1990年(平成2年)2月27日の初登院と同じ場所に立ってもらって、一眼レフで写真を撮りたいと思いました。
[画像]フジテレビさんニュースから。
ただ、この場所で写真を撮るとなると、どの記章がいいのか、永年在職表彰当日ならば違う対応が可能なのか問い合わせてみようと思っていて、でも代表就任でその時間もないかと思っていたのですが、杞憂に終わりまして、違うことに気を向けようと思います。
岡田さんの心持に関する情報が追加で分かりましたら、こちらのエントリーに追記するかもしれないし、しないかもしれません。
[民主党代表記者会見録から引用はじめ]
○永年在職議員表彰の辞退について
【読売新聞・加藤記者】
代表は1990年に当選されて、ことしで在職25年の「永年在職議員」になるが、その表彰を辞退されるということだが、その理由について伺いたい。
【代表】
そう理由はないのです。昔のように何か特典が付いているわけではないのです。年金が付いているとか交通費が付いているとか、そういうことはもうありません。ですから「受けても別にいいじゃないか」と言う人もいらっしゃいます。
ただ、私としては議員の在職期間が長ければそれがいいことだとは思っておりません。私自身の考えとしては、毎回毎回当選した時に、それから4年間自分の任期が始まると、そういう思いで仕事をしておりますので、(表彰を)受けなかったと。受ける方は当然、それが普通なのだと思いますが、私自身はご辞退を申し上げたということで、特にそれ以上の意味はありません。かつては小泉さんとか、公明党の坂口さんとか神崎さんとか、それから菅(直人)さんが辞退されたと聞いておりますが、特にそれ以上の意味はありません。
ただ、地元の後援会の幹部に一応ご相談したら、「あんたならやめると思っとったわ」と、そういう反応でした。ホッとしました。
【フリーランス・宮崎記者】
永年在職表彰を辞退されると聞いて驚いたが、代表選では「一緒に政治改革を目指して自民党を離党した方で政治生命を絶たれた仲間もいる」とおっしゃっていた。1990年に初当選してから25年間、ご自身はなぜ9回連続当選することができたとお考えか。
【代表】
なぜ9回連続当選できたか、これはわかりませんが、「運」と「よき支援者に恵まれた」ということだと思います。いずれにしても、志を持ちながら途中で政治生命を絶たれた仲間はたくさんおります。私は幸せだったなと思っています。
[引用おわり]
[民主党大畠章宏幹事長記者会見録から引用はじめ]
○内閣改造について
【フリーランス・宮崎記者】
9月上旬と総理が政府・与党連絡会議でおっしゃった。臨時国会で所信(表明演説)をどの時期で聞きたいか、スケジュール感を伺いたい。
また、来年2月に幹事長は永年在職議員表彰をされる。民主党は4人で、全員大臣をした。自民党は9人だが、山口俊一さん1人だけ大臣になっていない。来年の表彰前の内閣改造はこれが最後だと思うが、同期として山口さん、安倍総理への言葉はあるか。
【幹事長】
今ご指摘いただいたが、そういう実態にあるのだろうと思います。山口さんもそういう候補に上がっておられるのかなと思いますが、人情的には今ご指摘のような形になればいいのではないかと思いますが、これはあくまでも自民党・安倍政権の内部の話でありますから、どうお答えしたらいいか逡巡するところであります。人情的にはご指摘のとおりかなと思います。
[引用おわり]
[衆議院会議録から引用はじめ]
○鳩山邦夫君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
まず、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する等の法律案でありますが、我が国の現下の経済情勢、財政状況は非常に厳しく、また、本格的な構造改革のスタートにより、経済、社会、国民生活への多大な影響が見込まれております。こうした我が国の置かれている状況にかんがみ、各党、熱心な協議を行ってまいりましたが、各党の合意を得て本案を提出した次第であります。
その主な内容は、
まず第一に、議長、副議長及び議員の歳費月額を、本年四月一日から明年三月三十一日までの間、一割削減することであります。
これに伴い、副大臣等が給与の一部に相当する額を国庫に返納することができるよう措置することといたしました。
第二に、二十五年以上在職し、表彰の議決があった者が月額三十万円を受ける永年在職表彰議員特別交通費の制度を廃止することであります。
これらの施行期日は、本年四月一日からといたしました。
第三に、五十年以上在職し、表彰の議決があった者に年額五百万円の功労年金を支給することを規定した憲政功労年金法を廃止し、関係する法律を整備しようとするもので、その施行期日は、平成十五年一月一日からといたしました。
次に、国立国会図書館法の一部を改正する法律案でありますが、本案は、国立国会図書館の中央の図書館に関西館を設置するとともに、電子ジャーナル等インターネットを通じて閲覧の提供を受けた情報に関する規定及び複写事務の委託に関する規定等を整備しようとするものであります。
両法律案は、本日議院運営委員会において起草し、提出したものであります。
何とぞ御賛同くださるようお願い申し上げます。(拍手)
[おわり]