宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

補正予算(案)が財政法29条違反の疑惑が浮上、麻生財務相「自分から違法とは言えない」と否定せず

2015年01月29日 17時19分37秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 先ほどのエントリーにも書きましたが、平成26年度第1次補正予算(案)の基本的質疑が、平成27年2015年1月29日(木)行われました。

 この中で、今回の3・1兆円の補正が、財政法29条に違反している疑惑が浮上し、麻生太郎財務相(自民党)は「自分から違法だとは言えない」と語り、事実上違法性を認めました。

 財政法29条は、補正予算は(1)国の経費の不足を補う(2)当初予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出に限り、歳出の増額補正ができるとしています。

 民主党の小川淳也さんは、警察の庁舎の建設や科学警察研究所の機材の更新などがなぜ補正予算で対応する必要があるのかとただしました。

 階猛さんは、平成24年度補正で設立した、電気自動車の補助金の基金が使い切れていないのに、今次補正で300億円盛り込まれていると質問。宮澤洋一経産相は「基金だ」と答弁しましたが、「私の間違いで基金ではございません」として、単発の補助金だとしました。階さんは「だったらなおさら問題で、3月31日までに300億円も執行できるのか」 と問うと、宮澤経産相は「電気自動車は普及が遅れていたが、このところ増えたので使えるよう努力する」と答弁しました。

 後藤祐一さんは、「現在、基金というものは174あるようだ」としたうえで、今次補正では、14基金が積み増されているとしました。ところが、平成27年度予算(閣議決定済み、印刷中で、国会未提出)には、2基金は廃止されているとして、「ものづくりの基金の1020億円と農地バンク(農地中間管理機構)の基金200億円の積み増しは使い切ってしまえという考えではないか」と問いました。 

 麻生内閣の平成21年度第1次補正予算で創設された「基金」について、12の基金で積み増していることについて、答弁に詰まり、財務大臣としては異例の、秘書官からレクチャーを受ける場面が長時間見られました。さらに、農地中間管理機構の基金について、「農林中金のことね」と答弁するなど、自ら創設した基金の渡し切りの尻ぬぐいを、安倍内閣の副総理としてとらされる異例の展開となりました。 





[画像]長時間にわたり、秘書官からレクチャーを受ける麻生財務相、2015年1月29日(木)、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

tag (宮崎信行)

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安倍首相「東電福島原発事故は過酷事故は安全神話」と答弁 東京地検は東電・勝股容疑者ら逮捕すべきだ

2015年01月29日 15時23分21秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年1月29日(木)衆議院予算委員会 平成26年度補正予算(案)の基本的質疑1日目】

 馬淵澄夫さんが、原子力発電のシロアリ、RITE(ライト)こと「公益財団法人地球環境産業技術研究機構」というシロアリを攻撃しました。 

  馬淵さんは、原子力行政などには、「不作為の連鎖」があり、誰が悪いか分からないことがあるので、閣僚は身を律してほしいと呼びかけました。

 これに先立ち、安倍晋三首相(自民党総裁)は、馬淵さんに答弁し、「福島原発の過酷事故は安全神話によりかかっていた」と断定調で語り、東京電力経営者らに安全神話があったことを公言しました。

 さて、法務省の東京地方検察庁におかれている特別捜査部の部長が交代したようで、今後は経済事件のみ扱う、という趣旨の記者会見をしたようです。

 英国製の「コメット号」という飛行機が連続して墜落事故を起こした時に、チャーチル首相は「中央銀行の金庫が空になるまで徹底的に調査する」と語り、この調査報告書がもとになって、英国製飛行機の信頼性が高まり、その後の米ボーイング社の大躍進にかくれながらも、現在の多国籍企業エアバスの堅調な経営につながっているようです。

 韓国の検察は、「ナッツリターン」問題で、大韓航空の副社長を逮捕しました。

 ところが、東京地検特捜部は、この1月31日が期限となっている、東京電力福島第一原子力発電所の事故で告発され、検察審査会からも不起訴不当とされた、東京電力の会長だった勝俣、副社長だった武藤栄、取締役技術顧問だった武黒一郎の3人を不起訴にするようです。存在意義が問われる話であり、上川陽子法相は検察庁法にもとづき、捜査し、逮捕するよう、検事総長に指揮権を発動すべきでしょう。

 きょう初めて設置根拠を調べたら、「法務省設置法」という法律はないようです。検察庁法の付属文書で、法務省訓示の「検察庁事務章程」というものがあり、この別表が、東京地方検察庁の特別捜査部の設置根拠に過ぎないようです。このような法律上の根拠のない組織が必要なのでしょうか。仮に東電経営陣、勝俣容疑者、武藤容疑者、武黒容疑者を今月中に、逮捕して、東京拘置所のブタ箱にぶち込み、尻の毛をむしり取り、起訴するまで10年でも、100年でも勾留することができないようなら、事務章程を変更し、東京地検特捜部を廃止すべきでしょう。ただ、この事務章程をみると、どの検察支部にも必ず当直者を置かないとされており、このような勤務環境が、検察官の世間ずれにつながっているかもしれません。「不作為の連鎖」を断ち、万事徹底的に調査しないと、日本が貧しくなります。

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