イスラム国殺害脅迫 菅長官が記者会見へ(産経新聞) - goo ニュース
日本人殺害からのスタートとなりました。
召集週を迎えた、平成27年2015年1月25日(日)午前0時10分、第3次安倍内閣の菅義理・内閣官房長官は、昨年から、「イスラム国」を自称するISISに拘束されていた、自称・民間警備会社経営者、湯川遥菜さん=男性=が殺害されたとする、日本人人質の映像が公開されたのを確認したと発表しました。
筆者(宮崎信行)が確認した映像では、何者かが、「安倍よ、お前は遥菜を殺した」と英語で話しました。映像(画像)では、湯川さんに似た顔をした人物の頭部が、おそらく湯川さんとみられる胴体のおなかの上に載せられた写真が提示されました。湯川さんの死亡は確実。
この両男性は、イスラム国を自称する男により、身代金2億ドルを要求する映像をYouTubeに公開されており、日本政府としても本物だと確認していました。
これを受けて、安倍晋三首相(自民党総裁)は外遊先のイスラエルで記者会見し、釈放を呼びかけました。
[写真]訪問先のイスラエルで解放を呼びかける、安倍晋三首相(自民党総裁)、NHKニュースから写す。
安倍首相は、その後外遊日程を早めて帰国しました。
ISISによる人質殺害は、アメリカ人、イギリス人と続いており、キャメロン首相(保守党党首)も同様に外遊を早めて帰国し、殺害確認後に強い姿勢で批判する対応をしました。
ISISは身代金ではなく、ヨルダン政府が逮捕し、拘置している、女の未執行死刑囚の釈放を要求しているようです。
通常国会召集直前に日本人が人質に取られるのは、第2次安倍内閣発足直後の2年前も同じで、菅長官の地元にある会社「日揮」のアフリカにあるプラント事業所でも集団で人質に取られました。しかし、全員無事解放にこぎつけ、当初民主党新執行部は通常国会での追及を予告していましたが、ほとんど議題になりませんでした。
さて、2015年1月には、フランス・パリで、預言者の顔を描いたうえで風刺する三文雑誌の本社が襲撃され、編集長や漫画家が殺されました。容疑者はフランス政府が射殺しましたが、一部国外に逃亡中。これに対して、「ジュ・シ・シャルリ」とうプラカードを、パリ、ロンドン、ニューヨーク、ブラジル、オーストラリアなどで掲げる運動が起こりました。
さらに先週、サウジアラビア国王が交代することになり、スイス・ダボス会議でも大きな話題になっています。
まさに冷戦崩壊、インターネット、マネタリズムが生み出したグローバリゼーションによる漂流が始まったのかのようです。
現地本部長を務めた中山泰秀・外務副大臣にとっては、湾岸戦争で逃げ遅れ、フセイン政府の拘束の元、ソフトボールなどをしていた商社マンらの人質が全員釈放され、日本に帰国した際の「中山外務大臣を張り倒したい」という、中山太郎外相が浴びた日本政府に対する暴言、叔父の口惜しさの雪辱をはらせませんでした。同じ大阪府選出の谷川秀善・外務副大臣は、「イラク3馬鹿」の釈放に成功した際に、サウジアラビアで日本人記者団から「身代金は払ったんですか?」との問いに「馬鹿なこと言いなさんな!」と一喝した、政治家らしい、自民党らしい姿とは明暗を分けました。
サミュエル・ハンティントン著、鈴木主税翻訳の「文明の衝突」(集英社)によると、「中等教育を受けた膨大な数の若者たちから力の供給を受けつづけるイスラム復興運動はイスラム教徒の好戦性を高め、各国の軍備をの拡充に動くとともに、国外への移民も増える。その結果、21世紀初頭の世界では非西欧諸国が国力と文化的影響力を増大させつづけ、非西欧文明圏の諸民族がおたがい同士、あるいは政党とのあいだで衝突を繰り返すことになる」(第2部のしめくくり、181ページ)と指摘しています。
イスラム教が悪いわけではありません。
また、日本のキリスト教徒はわずか人口1%以下です。
例えば、首相が8月に発表する「戦後70年談話」にも、この事件への言及も必要になり、国会での事前審査が必須。
岡田克也・民主党代表による、しっかり安定した中長期的論戦も必要になるでしょう。