ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

農協法改正案提出へ、JA全中を単位農協から切り離してお茶を濁す骨抜き自民党、金融を切り離せ!

2015年01月08日 06時32分38秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]答弁する西川公也農相、2014年10月29日、審議中継からスクリーンショット。

 第47回衆院選で、現職閣僚で唯一小選挙区で敗れた(栃木2区民主党・福田昭夫さんが46・7%に対して46・5%で比例復活)にもかかわらず、第3次安倍内閣で再任をはたした、西川公也農相は、平成27年2015年1月6日(火)の年頭閣議後記者会見で、「地域農協の自由な経済活動をどうやって、こう、進めてもらうかと、こういうことが大きな課題になります」と語り、JA全中(全国農業協同組合中央会)を地域農業(単位農協)から切り離す、農協法改正案を第189通常国会に提出する考えを明示しました。

 当ブログでは秋の臨時国会冒頭の参議院代表質問を受けて、昨年10月2日付エントリーで「JA全中廃止へ「農協法改正法案」を第189通常国会に提出へ 第187秋の臨時国会で首相・農相答弁」と報じました。

 JA全中を一般社団法人に移行し、単位農協は独自に監査法人などを選べるという内容です。

 これは、自民党公約2014などに反したものとはいえませんが、アベノミクス第3の矢「成長戦略・規制改革」の、「農業改革」の目玉が、JA全中を、単位JAから切り離すことだったらお笑いです。ふだん選挙で世話になっている、農政連などは単位JAに権限があり、集票活動は単位JAが担っています。

 本来やるべきは、JAバンクのJA本来業務からの切り離しです。何よりも、融資部門と、集荷部門はまったく別物ですから、法人自体切り離し、まったく無関係にすべし。金融のなかでも、医療共済、火災共済は本来業務と違うので、他の金融機関が開発した金融商品の取次にとどめるべきです。融資部門では、複数の農業者を束ねて、一つの農機具を融資するがんじがらめローンをやめるべし。共済に関しては、政府が直接支払を再開すれば、コメに関してはJA共済に必ずしも入らなくてよくなります。そもそも、農業補助金の受取口座はJA口座でいいとしても、あっせん業務はなるべくやめ、シンプル化すべきです。

 ホームセンターは、JAでなく、「コメリ」でもいいのです。「コメリ」は、「スキップ一括払い」で購入から8カ月後に決済しても、手数料は無料です。ですから、3月に種と資材を買って、出荷して現金に換えた11月に決済しても、金利手数料無料です。このコメリの決済システムは、資金量ではるか凌駕するJAでもできるはずです。ちなみに農協法をよく読むと、JAは「イスラム金融」もできることになっています。なのに、なぜ「コメリ」の「8か月後決済無利息」ができないのか。ひょっとして、JAバンクは会員が疲弊しているのを知っていて、会員を信用できないのか?

 そもそも、中央会と単位農協を切り離したら、ますます組合長は元気になるじゃないでしょうか。

 だいたい、農業者のみなさんも、銀行口座、補助金受取、住宅ローンに加えて、あげくのはては、葬祭までJAでは、農奴ですよ。

 自民党お得意の「骨抜き改革」に強く抗議します。

 農協法改正法案は、第189通常国会で衆議院で予算通過後の3月ごろに提出される見通し。衆参の農林水産委員会では、特段の大型法案は予定されておらず、審議入りすることは確実だろうと、召集前の段階では想定できます。


[農林水産省ウェブサイトから引用はじめ] 

西川農林水産大臣記者会見概要

日時 平成27年1月6日(火曜日)11時32分~11時38分 於:本省会見室
主な質疑事項
農協改革について
大臣

それでは、会見始めさせていただきます。どうぞ、御質問等ありましたらお願いをいたします。
記者

1点だけです。農協改革ですが、年も明けまして、これから議論が本格化してくると思いますけれども、焦点の中央会制度について、全中の法的位置付けや新制度への移行期間についてですね、現時点での大臣のお考えを聞かせてください。
大臣

「農協改革、なぜやる」と、こういうことがありますが、私どもは農林水産業全般を見直して、農林水産に携わる人たちが、いかに所得を増大させていくかと、これが大きな目的であります。そして、農山漁村のにぎわいを取り戻そうと、こういうことで政策を進めさせていただきたいと考えております。そういう中で、農協中央会制度でありますけれど、昨年の6月に、私ども、党も議論をしましたし、政府側も議論して、自律的な新たな制度に移行すると、こういうことは合意をされているわけであります。そういう中で、地域農協の自由な経済活動をどうやって、こう、進めてもらうかと、こういうことが大きな課題になります。中央会制度で、特に議論に、これからなろうと思う問題はですね、全国農協中央会(「全国農業協同組合中央会」)の問題だと思うんです。これについてはですね、先ほど申し上げた、自律的な新たな制度と、こういうところで、強制権限を持たない新たな法人形態に移行する必要があると、私ども、考えております。そして、この中央会制度、抜本的な見直しを進めると、この基本的な考え方で、私ども、進めていきたいと思います。
記者

移行期間については。
大臣

はい。期間については、まだ、議論をしておりません。これから議論をしていきますし、できれば、全国農協中央会の皆さんとも改革について早く同じ方向になればいいなと、そういう中で、これから移行期間等は議論をしてですね、どういう形で進めていけばいいのかということは、これから協議をさせていただくと、こういうことでありまして、現在時点では、まだ、何もそれは決めておりませんということを申し上げておきたいと思います。
記者

これまでは、その集中改革期間として5年というのが、一つ、示されていたと思いますけれども、必ずしも、それにはこだわらないということなんでしょうか。
大臣

はい。こだわりません。
記者

強制権限を持たないというのは、監査権限は持たない組織と考えていいでしょうか。
大臣

そうですね、これから議論をしていきますけれど、監査制度そのものをですね、農協でしかできないという主張もあります。一方でですね、それは監査法人にお願いすればいいんじゃないかと、こういう意見もありますね。どちらが本当に農協経営に有効かと、こういうことを考えますとですね、相当幅広い方がいいんじゃないかという意見もありますので、農協で持ってる組織と広域的な監査法人と、これ、よく調整をしてやっていかなきゃならないと、こう思っておりますから、単純に強制権限を外すことイコール農協の監査制度を止めるということにはつながらないと思うんですね。強制権限は持たないようにしますけれど、どういう形が一番農協の監査にとっていい方法かと、これは、これから協議をさせていただいてですね、私どもなりの案も、これから示していって、農協側の意見も聞くと、こういうことで進めさせていただければと考えています。
記者

まだ、決まってないんでしょうけどね。あの、農協の現状のまま監査権限を持つこともあり得るってことですか。
大臣

いえ、強制監査権は持っていただかないと、持たないと。そして、農協の自由な発想で活動すると、こういうことでありまして、中央会そのものが監査以外のこともたくさんやってきておりますし、健全な農協が大体、日本全国みんな健全な農協になれたと、そういう中で、監査権限は相当有効だったと思いますけれど、果たして、新しい時代に今のままでいいのかというと、大きな議論がありますので、今のところは強制監査権は持たないと、こういうことで、これからの在り方を詰めていきたいと思います。
報道官

はい。他によろしいですか。それでは、ないようでしたら、これで会見を終わります。
以上

[引用おわり] 

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