宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

すべての農地転用の許可、農相から知事の権限に移譲 第5次(?)地方分権一括法案、今国会提出へ

2015年01月30日 23時59分59秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

(このエントリーの初投稿日時は2015年2月5日、午前7時)

 4ヘクタール超も含めて、農地転用の権限を、国から都道府県に移譲(委譲)する、「平成26年の地方からの提案等に関する対応方針」が、平成27年2015年1月30日(金)、閣僚関係会議で決まりました。

 民主党政権から始まった第1次~第4次地方分権一括法の流れで、「第5次(?)地方分権一括法案」が今第189通常国会に提出されるはこび。これまでは、衆参とも内閣委員会が審査してきています。また事前の地方6団体と十分な根回しのうえ提出されているため、賛成多数で成立してきています。民主党政権は当初「地域主権」という言葉にこだわりましたが、野党・自民党との修正で、「地域主権」は削除しました。

 現在は、4ヘクタール超の農地の転用は、農林水産大臣が許可(法律上禁止されていることを一時的に可能とすること)していますが、 法律施行後は、4ヘクタール超は、都道府県知事が農相と相談のうえ、農地の総量を勘案したうえで、許可することになるようです。4ヘクタール以下はこれまでも知事ができたようです。

 「決定」の概要は、下の内閣府ウェブサイトのアドレスで情報を取り出すことができます。

http://www.cao.go.jp/bunken-suishin/doc/h-tb26-gaiyou.pdf

 内閣府の規制改革担当の小泉進次郎政務官は2月3日(火)の参議院総務委員会(谷合正明委員長)で、「農地転用を総量を勘案のうえ、地方に移譲する」と答弁し、今国会に提案される一連の地方分権改革の目玉であることを示唆しました。

 内閣府におかれた部署が執筆する法案のため、議院運営委員会は、内閣委員会に付託すると思います。

 すべての農地が、知事の許可により、転用することができるようになりました。農地の貸与をする農地バンク(県農地中間管理機構)が信用されない状況に陥っており、貸与よりも売却による、農地の整理が進むことになりそうです。遅きに失したとはいえ、当然の規制改革です。

 


平成26年度補正予算案が衆議院で可決、参議院へ 民維共反対

2015年01月30日 19時15分24秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年1月30日(金)衆議院予算委員会】

 平成26年度補正予算案が2015年1月30日(金)午後4時過ぎ、衆議院予算委員会で可決しました。

 基礎自治体が発行するプレミアム付き商品券の交付金や、地方交付税交付金の1兆円積み増し、東日本大震災復興特別会計への1兆円繰り入れなど、合計3・5兆円増額。そして、国債の低金利による想定利回りとの差額分0・4兆円の歳入を減額補正するので、差し引き3・1兆円。これにより、今次補正後の平成26年度予算は99兆円となります。

 締めくくり質疑のなかで、宮澤洋一経産相は、「使い切れるよう頑張るが、繰越明許がついている」と語っており、一般会計の事業も、特別会計も4月1日以降への繰り越しが前提と見られ、経済効果は限定的になります。また、宮澤答弁で繰越明許前提の事業が多いことが明らかになったので、2月中旬からの平成27年度当初予算(案)の審議では、「15か月予算」として、補正と照らし合わせた徹底審議が必要となりました。

 討論は、自民党が賛成、民主党が反対、維新の党が賛成、公明党が賛成、日本共産党が反対しました。

 法案の採決は本会議が優先されますが、委員会では賛成35(自民党31、公明党4)反対15(民主党8、維新5、共産党2)になるようです。委員長は採決に参加していませんが。

 今週初めて気づいたのですが、第47期衆議院は、本会議代表質問も、予算委員会質問も、自民維公共の5会派だけになっており、すっきりした印象です。ただし、共産党は理事小を出していませんから、共産党は民主党の協力があったうえで、第47期衆議院の予算委員会に臨むことになります。この5党だけで、今後数十年間の政治を担っても、十分に、さまざまな民意を吸い上げて、反映することができるように感じます。野党再編は不要に感じました。

 この後、衆議院総務委員会で、地方交付税総額を書き直す、「地方交付税法改正法案」(189閣法1号)が審議され、採決。

 これらを緊急上程して、衆議院本会議が午後5時設定で、開かれます。

【同日 衆議院総務委員会】

 補正予算にもとない、交付税総額を上書きする、「地方交付税法改正法案」(189閣法1号)が審議入り。今国会、法案第1号となりました。高市総務相らがあいさつしましたが、所信表明は後日改めて開かれるようすでした。

 法律案は、自民党、公明党、民主党、(おそらく)維新の党の賛成、日本共産党の反対、の賛成多数で可決しました。

【同日 衆議院本会議】

 設定時刻より、1時間半遅れで始まりました。なお、町村議長は、多少、ろれつが不明瞭な部分がみられ、2年前の発病のリハビリの経過について、日本の理学療法などの力を衆議院議長みずから見せる、という議会運営になるのかもしれません。

 平成26年度補正予算案が緊急上程されました。

 討論では、民主党の馬淵澄夫さんが反対。「補正に計上はするが、後はどうなるか分からない、といういびつな粉飾予算だ。これは2015年度にプライマリーバランスの赤字半減目標を達成するためにやっているのではないか」と語りました。

 次に公明党の樋口尚也さんが「公明党を代表して賛成討論」をしました。前の期では、公明党議員が「自民党と公明党を代表して賛成討論」をすることが多かったのですが、きょうは自民党が討論の権利を放棄したようです。ただ、与党の樋口さんも「アベノミクスは今年が正念場だ」と指摘しました。

 維新の党の吉村洋文さんが反対討論。「もはや年中行事といってもよい補正予算なのではないか」と、3年連続の「15か月予算」を批判しました。

 日本共産党の宮本岳志さんも反対討論しました。

 今期は、5つの会派だけなので、すっきりしました。

  採決の結果、起立多数で、平成26年度補正予算案は可決。参議院では来週月曜日の午前9時からさっそく審議されます。

 続いて、地方交付税法改正案(189閣法1号)が緊急上程。起立多数で可決し、参議院に送られました。