[写真]ぶら下がりインタビューの場所が「ここは岡田卓也記念アトリウムだ」と筆者(手前カメラ)から指摘されて、思わず笑みを押し殺そうとする、岡田克也副総理(当時)、2012年11月、東京・早稲田大学商学部、筆者(宮崎信行)撮影。
岡田克也さんは平成27年2015年1月13日(火)朝、民主党本部で、大学生と懇談しました。
この中で、「日本の会社の働き方を変えないとダメです。こんなに長時間拘束して、ホントウに生産性が高いかどうか疑問なんですが、今の働き方と子ども子育てを両立することは無理なんですね。仕事は仕事として、そしてそれ以外のことは分けて、自分の生活がなければならない。そのために制度を変えないといけないし、意識を変えないといけない。子ども子育てのために会社を辞めたり、そもそも結婚しないという意識を変えないといけない」と語りました。
岡田さんはこれに先立ち、自身の子の1人が、メーカーで飲み会に行った後に職場に戻って翌日の資料をそろえて、午後10時、11時に帰宅していると明かしました。
今から、80年前の職業女性の働き方もそれと似ていたようです。当時の主要産業は製糸業で、多くの女工が手厚い福利厚生のもと、若い年齢から働いていました。ただ、結婚すると少し違ったようです。
細井和喜蔵著「女工哀史」1925年大正14年の一節。
「10時間以上も働いて一人前にあまる仕事をしてきた妻に向かい、夫はくわえたばこで用を言いつける。三度三度据え膳に向かって洗い物一つする必要のなかった寄宿舎生活に比べて、あまりに家庭の仕事は多きに過ぎる」「そうしてその結果が離婚するのではなくてして当分のうち互いに別れ別れをなって働くという口実のもとに寄宿へ立ち返る」「かくしていったんつくったところの家庭を、日ならずして破壊してしまうのだ」「この家庭破壊はたいてい子なき前(第1子の誕生前)に行われる」。
このころの貴族院議員の「多額納税議員」はほとんどが製糸業者の社長だったのですが、やはり羽振りがよく、給料が良い女工が、自分より収入が少ない夫が家事を分担しないため、離婚することが多かったようです。この給料で人を判断するのは、江戸時代の士族の石高の影響もあるようでしょう。また、細井は、会社に対しては従順なのに、離婚はすぐ判断するということを指摘しています。
細井がこう記した、2年後、昭和2年8月27日朝、大事件が起きます。以下は、山本茂美著「ああ野麦峠」から。
全国9工場、女工数千人をかかえる大企業、「山一林(やまいちばやし)組」の本社社長室に、山岡主任が呼び出され、林社長から「労働組合を脱退するか、切腹しろ」と迫られます。山岡主任は「私はこの会社に17年も真面目に働いてきて、何も悪いことをした覚えはありません」と答えました。林社長はおどしたつもりだったのですが、翌朝、5人の男性社員が女工による嘆願書を社長室にもってきます。その内容は次のようなものでした。
抜粋引用です。
「ことし3月、わが岡谷に日本労働総同盟全日本製糸労働組合が生まれたことはすでにご承知のことと存じます。
一、労働組合の加入の自由を認めてください。
三、組合員なるがゆえをもって絶対解雇せざるよう願います。
五、食料および衛生上に対しまして改善を願います。
七、従来の賃金が一般工場より非常に低廉なるがゆえに私どもの生活は実に困難であります、可憐な私どものために左に記した賃金を与えてくださるよう願います」
こういった女工たちの嘆願書について、林社長は「職工は入社前に、ここに十分話し合って契約してある。横合いから出た人間に干渉される必要はない」と突っぱねます。
これを受けて、組合は同日正午を期して、「同志のために」と題したビラを自動車で地域社会に配布し、争議団本部の看板を掲げました。同日午後7時から、女工千数百名(他工場からの応援含む)が集まり、「私たちは身売りした奴隷ではない!」「私たちは日本産業を担う誇り高き労働者である」「募集時の契約通りの賃金を払ってください」「私たちは豚ではない。人間の食べ物を与えてください」と口々に訴えました。
会社側は9月7日、「8月31日までに就業しなかった男女工諸君へのお知らせ」という書面とともに、全員に解雇を通知しました。この背景には、生糸相場がわずか1年で2010円から1200円と8割暴落しており、その直後の、昭和金融恐慌、世界恐慌を先取りしていたこともあり、ロックアウトしたまま、山一林組は廃業しました。社員をつぶし、会社もつぶしました。
解雇通知を受け取った争議団代表が8日、会社側代表に面会を求めたところ、岡谷警察署長が出てきて、「重役はどうしても合わぬというから帰りたまえ、もしそこを去らなければ、面会強要罪で逮捕する」と訳の分からないことを発言しました。
これを受けて、朝日新聞は社説で、「山一林組の社長が地元選出の小川平吉鉄道大臣の選挙参謀だから警察取り締まりの手に影響しているという風説のごときは、選挙を控えた政友会のためにも有利ではあるまい」という表現で、小川平吉代議士が干渉している可能性に言及し、牽制しています。
さて、岡田さんが運命の人だと思うのは、言うまでもなく、労働運動発祥以来、現在にいたるまで、「総同盟日本製糸労働組合」は日本最大の構成員をかかえる産業別労働組合です。現在の名前はUAゼンセン(全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟)です。そして、数年前から私気づいていましたが、昨年末確認を取ったところ、UAゼンセンの最大の構成単位労働組合は、イオングループ労連であり、イオン労働組合です。
イオンの創業者は、岡田克也さんの実父である岡田卓也さんである、イオンの代表取締役CEOは、岡田克也さんの実兄である岡田元也さんです。だから春闘の相手側は、岡田さんのお兄さんが議長を務める取締役会メンバーとなるわけです。
民主党結党時には、勝木健司・参議院議員がダイエーユニオンから出ていましたが、イオングループ労連からは参議院議員が出たことはありません。UAゼンセンは全国に組合員がいます。「食品スーパーあるところに組合員あり」ですが、一定の地域に集中しておらず、今の選挙制度では議席が勝ち取りにくい傾向があります。おととしの参院選でも現職が落選してしまいました。参議院全国比例は柳澤光美さん一人ということになっています。その柳澤さんは、UAゼンセンの組合員に対して、「岡田克也さんが首相に最適だ」と連絡してくださっている、と報じられています。
偶然にも、政府が弾圧したという噂が朝日新聞にも載った、小川平吉鉄道大臣の実孫(娘の息子)は、第78代宮澤喜一首相です。ちなみに、山一林組争議には、東京から、後の第46代首相片山哲も応援んに来ましたが、7日にロックアウトされているのに、15日に来たというのですから相変わらず社会党は遅いですね。この片山内閣を連立与党の副総理として支えた西尾末広さんや、第39代衆議院議長が松岡駒吉さんらは山一林組争議にかけつけています。この西尾さん、松岡さんは、友愛の精神で、現在の第66代衆議院副議長の川端達夫さんの先輩になります。
2010年の労働党党首選挙でもイギリス最大の産別「Unite the Union」は、当初2番手だったEd Milliband候補に対して、当初1番手だったDavid Milliband候補の2倍以上の支持を、初回投票からしており、その5カ月後の決選投票での逆転でEd候補が当選する遠因になっていたいようです。最大の産別の支持を得ることが、当選につながるのは当たり前のことでしょう。
そして、「職場から始めよう運動」で、正社員が同じ職場の非正規雇用の労働者の働き方をチェックするシステムを持つ、UAゼンセンのしくみをつかって、職場の声を吸い上げることができるでしょう。
労働と生活が両立する日本社会の実現のために、職場から始めようではありませんか。その大きな力は、私たちの声を反映できる人物を内閣総理大臣にすることが最も手っ取り早いことなのです。
まあ、UAゼンセンの組合員で、民主党員・サポーターになっている方がどのくらいいるか分かりませんが、ともにたたかいましょう。岡田克也首相のもと、1人1人の職場から、1つ1つの家庭から、始めようではありませんか。
tag (宮崎信行)
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