田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

地域発展の意味を問う

2010-02-16 16:41:25 | 札幌学 & ほっかいどう学
 講師は受講者に投げかけた。地域の発展を経済の領域拡大だけを追い求めることから脱却すべきではないのかと・・・。
 
 北海道新聞と小樽商科大学が共催する「時代が読める経済・ビジネス講座」の受講券が1月に続いて舞い込んだ。
 2月13日、札幌駅近くの小樽商大サテライト教室で「公共事業依存からの脱却を目指して」と題して小樽商大准教授の田中幹大氏が講義したのを受講した。

          

 田中氏は概ね次のような構造で話された。
 北海道の経済は公共事業(土木建設業)に負うところが大きいが、その公共事業は1993年当時と比べると2006年には半減してしまっている。その公共事業がこの先大きく復調するとは考えられない。
 日本経済が現在やや復調気配にあるのは製造業の好転である。
 その製造業の代表として北海道に進出している「トヨタ北海道」を例にして考えると、トヨタの好況につられて下請けも恩恵にあずかっているが、その下請けで「トヨタ北海道」に部品を納入している道内企業は6社にすぎない。
 その「トヨタ北海道」も企業としての意志決定をする権限はなく、あくまでトヨタ本体からの指示・命令に左右される。親会社の動向により業績が左右される下請け製造業に大きく期待はできない。
 そうした中、「食」を通じて地域・経済発展に取り組む十勝・帯広の動きを注目した。

 その十勝・帯広の動きとは・・・、
 ◇食品加工技術センターとの連携による食品開発
 ex.丸勝の「酢」、「鮭節」、「枝豆サラダ麺」など…。
 ◇「北の屋台」を通したまちづくり ~ 地産地消
それらの動きが十勝・帯広では点の動きから線の動きに成りつつある。

 そして田中氏は次のように締め括った。
 十勝・帯広では地域住民が生き生きとしてこうした取り組みに参加している。
 地域の発展の意味を量的拡大の面からのみ捉えるのではなく、地域が元気になる、人が元気になることも地域の発展として捉える考え方があっても良いのではないか。地域が元気になり、人が元気になることが、やがて量的拡大に繋がることもあると思う。
 そして将来の展望として、「食」を通じての中国への展開を視野に入れるべきだとして講義を終えた。

        
        ※ 講義をする田中幹大小樽商大准教授です。

 土木建設業や製造業と、食品加工業や飲食業を同列に論じるにはやや難があるような気もしないではないが、田中氏の結論もやはり北海道の発展は「食」にあり、と見たようだ。
 これまで何人かの経済の専門家のお話を伺う機会があったが、誰もが北海道の発展を考えるとやはり北海道の農畜産漁業の産品を主として戦略を立てよ、と云っていたようである。
 識者の見方・考え方は一致している。問題はいかに戦略的にこの課題を克服していくかということのようだ。官民一体となって課題を克服し、北海道新時代の到来を目指してほしいものである。

 まったくの専門外と思い遠ざけていた経済のお話ですが、こうして何度か話を伺っているうちに面白くなってきましたね。