観光のタイプも国によってさまざまなタイプがあるようだ。中国語では「紅色旅遊」と称する「革命観光」というタイプがあるという。「愛国主義教育」を推進する中国は、その方策の一つとして「革命観光」を推奨しているらしい。その「革命観光」の表と裏を聴いた。
北大の公開講座「記憶の中のユーラシア」第2講は5月16日(金)、「中国の革命観光」と題して、亜細亜大学の高山陽子准教授が務めた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/11/55b63aef87360caabab5c35d746e79aa.jpg)
※ 中国の「革命観光」について講義をする高山陽子亜細亜大学准教授です。
改革開放路線を推し進めてきた中国では、一方では依って立つ共産主義から国民が離反することを警戒し「愛国主義教育」を推進したという。その一方策として「革命観光」が政策的に進められているという。
観光には、その目的に応じて歴史的文化観光、自然観光、レジャー観光、宗教的観光などがあるが、宗教的観光は神社仏閣などを聖地として巡礼する観光があるが、宗教を否定する中国としてはそれに代わって中国共産党にまつわる場所を巡る政治的巡礼が奨励されているという。
そして国としては12の重点紅色旅遊区が指定されているという。例えば、1921年に第1回中国共産党大会が開催された地・上海とか、1927年に起こった八一南昌起義の地であり、毛沢東誕生の地としての詔山、井岡山、端金というように…。
こうした「革命観光」は中国の国家運営に寄与している部分も確かに大きいと思われる。それは例えば「旅順万忠墓博物館」において「日本侵略軍は旅順に侵攻し、3昼夜にわたって武器を持たない市民たちを虐殺した。……」などという表示がディスプレイされた展示と共に表示され、それが道徳教育の一環に組み込まれているという。それした背景があっての中国民衆の日本バッシングのデモなどではなかったろうか?
一方、こうした官制によって推進されている「革命観光」には弊害も出ていると講師の高山氏は指摘する。
例えば、公費による旅行が増加しているという事実、あるいは民衆に分かり易く伝えようとするがあまりの歴史的事実の歪曲・パロディ化。さらには観光地が風俗産業との癒着を産んでいる事実などがあるという。
観光というカテゴリーには入らないまでも、国における博物館的施設の展示については、多かれ少なかれ現体制を肯定するような展示がなされるのだろうと思われる。
そこに民主主義というチェック機能が働く国家と、残念ながらそうした機能が働かない国家が存在するということを改めて教えられた今回の講座だったような気がする。
北大の公開講座「記憶の中のユーラシア」第2講は5月16日(金)、「中国の革命観光」と題して、亜細亜大学の高山陽子准教授が務めた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/11/55b63aef87360caabab5c35d746e79aa.jpg)
※ 中国の「革命観光」について講義をする高山陽子亜細亜大学准教授です。
改革開放路線を推し進めてきた中国では、一方では依って立つ共産主義から国民が離反することを警戒し「愛国主義教育」を推進したという。その一方策として「革命観光」が政策的に進められているという。
観光には、その目的に応じて歴史的文化観光、自然観光、レジャー観光、宗教的観光などがあるが、宗教的観光は神社仏閣などを聖地として巡礼する観光があるが、宗教を否定する中国としてはそれに代わって中国共産党にまつわる場所を巡る政治的巡礼が奨励されているという。
そして国としては12の重点紅色旅遊区が指定されているという。例えば、1921年に第1回中国共産党大会が開催された地・上海とか、1927年に起こった八一南昌起義の地であり、毛沢東誕生の地としての詔山、井岡山、端金というように…。
こうした「革命観光」は中国の国家運営に寄与している部分も確かに大きいと思われる。それは例えば「旅順万忠墓博物館」において「日本侵略軍は旅順に侵攻し、3昼夜にわたって武器を持たない市民たちを虐殺した。……」などという表示がディスプレイされた展示と共に表示され、それが道徳教育の一環に組み込まれているという。それした背景があっての中国民衆の日本バッシングのデモなどではなかったろうか?
一方、こうした官制によって推進されている「革命観光」には弊害も出ていると講師の高山氏は指摘する。
例えば、公費による旅行が増加しているという事実、あるいは民衆に分かり易く伝えようとするがあまりの歴史的事実の歪曲・パロディ化。さらには観光地が風俗産業との癒着を産んでいる事実などがあるという。
観光というカテゴリーには入らないまでも、国における博物館的施設の展示については、多かれ少なかれ現体制を肯定するような展示がなされるのだろうと思われる。
そこに民主主義というチェック機能が働く国家と、残念ながらそうした機能が働かない国家が存在するということを改めて教えられた今回の講座だったような気がする。